撮影日記


2022年10月02日(日) 天気:晴れ

関式サロン露出計UB型には3バージョンある

写真をきれいに撮るためには,露出とピントをきちんとあわせる必要がある。露出を決める基準として,「露出表」というものがある。これは,フィルムの感度と天気に応じて,基準となるシャッター速度や絞りの値を一覧にしたもので,ごく簡便なものはフィルムのパッケージに印刷されている場合もある(2018年11月26日の日記を参照)。

「露出表」の内容をもう少し詳しくしたものが,かつては月刊誌に掲載されていた。さらに,フィルムの感度や天気などの要素をいろいろ組みあわせられるようにし,基準となるシャッター速度や絞りの値などを決められるようにしたものは計算盤式露出計や露出計算尺などとよばれる。「関式サロン露出計」は,日本国内で販売された計算盤式露出計として,有名なものの1つである。ほかに,「佐和式露出計算尺」というものも,有名である(2022年2月6日の日記を参照)。
 これまでに「関式サロン露出計」について調べた結果,少なくとも7つのモデルに分類できること,そのうちUB型に3つのマイナーバージョンがあり,あわせて少なくとも10種類に分類できることがわかった(2022年6月3日の日記を参照)。

関式サロン露出計UB型の3つのバージョンは,つぎのようなものである。

@感光度表記がASA/DIN,サマータイム対応。
 A感光度表記がASA/DIN,サマータイム非対応。
 B感光度表記がASA/Weston,サマータイム非対応。

この前のモデル,UA型はサマータイムに対応しており,UB型が発売後にサマータイムが廃止になっている(2021年10月20日の日記を参照)ことから,UB型のサマータイム対応版が,UB型のサマータイム非対応版よりも前のモデルであると判断できる。
 一方,この後のモデル,VA型は感光度表記がASA/Westonになっていることから,UB型でもASA/Westonになっているもののほうが,ASA/DINになっているものよりも後のモデルであると判断できる。
 このたび,説明書や箱がとセットになった「関式サロン露出計」UB型を入手して,この前後関係を裏付けることができた。

関式サロン露出計UB型のサマータイム対応版は,2022年6月3日に入手した。セットになっていた取扱説明書の奥付には,「昭和27年2月5日発行」「改訂24版」と記されている。

関式サロン露出計UB型のサマータイム非対応版で感光度表記がASA/DINになっているものは,昨年末に貸していただいたものである。セットになっていた取扱説明書の奥付には,「昭和28年2月5日発行」「改訂31版」と記されている。

そして,あらたに入手した関式サロン露出計UB型は,サマータイム非対応版で感光度表記がASA/Westonになっているものである。セットになっていた取扱説明書の奥付には,「昭和28年5月5日発行」「改訂34版」と記されている。

このように,関式サロン露出計UB型の3つのバージョンが発売された順番は,「サマータイム対応,ASA/DIN」→「サマータイム非対応,ASA/DIN」→「サマータイム非対応,ASA/Weston」であることが確認できたことになる。そして,感光度表記がASA/DINからASA/Westonに切り替わった時期が,1953(昭和28)年2月よりあとで5月以前という範囲に絞りこまれたわけである。


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