撮影日記


2022年10月16日(日) 天気:晴れ

久しぶりに「期限切れ」カラーネガフィルムを使う

写真用のフィルムは,化学的な反応を利用して画像を固定する物質である。フィルムには「有効期限」というものがあり,その時期を過ぎると,本来の性能を発揮できなくなるとされている。加工食品の,賞味期限のようなものであると言ってもよさそうである。食品と同じように,保存している環境などによって,劣化の程度が異なる。有効期限を1日でも過ぎると,もう使い物にならなくなる,というようなものではない。保管の条件がよければ古いフィルムでも実用になる場合があるし,保管の条件がよくなければ有効期限内のフィルムでも使い物にならなくなることもある。
 最近,フィルムの価格がずいぶんと高価になっている。36枚撮りの35mm判用カラーネガフィルムなら,1本1500円くらいで売られていることが多い。また,お店によっては売られている数量が少ないこともある。フィルムが入手しにくくなっているのである。そのせいか,有効期限を超過した「期限切れ」フィルムも,インターネットオークションなどで活発に流通しているように見える。しかも,かなりの高値で取引されているケースも見られる。カラーバランスがずれていたり,粒状性が悪くなっていたりする絵を求めて,あえて期限切れフィルムを使う人もあるようだが,いまは少しでも安くフィルムを使いたいと考えて,期限切れフィルムに手を出している人もあるように見えるが,実際のところはどうなのだろうか。
 有効期限を過ぎてしまったフィルムといっても,数年くらいであれば使えなくはない。これが,10年を過ぎると,劣化がかなり目立つようになってくる。銘柄ごとの特性や保管条件などによって劣化の程度に差があるので,まだなんとか使えそうなフィルムがある一方で,もはや実用にならないレベルのフィルムもある。カラーバランスがずれていることを期待して使うとしても,1本1本で状態が異なるのだから,期待するような「ずれ」が得られないこともある。偶然におもしろい絵が撮れることを期待するような使い方になるのかもしれない。

手元に,有効期限を大幅に超過したフィルムが,まだかなり残っている。大事にもっていたところで,フィルムは劣化する一方だから,どんどん使ってしまいたい。

カラーフィルムの製造発売元としては,日本のフジとコニカ,アメリカのコダック,ドイツのアグファがよく知られてきた。このうち,コニカのカラーネガフィルムは,フジのカラーネガフィルムよりも,劣化の進行が速いという評判をよく耳にする。劣化の結果は,感度の低下やカラーバランスのずれなどとして出現するが,フィルム全体に一様に起こるのであれば,露出や現像の工夫,プリント時の補正などで少しは対処できるかもしれない。実際に,コニカの期限切れフィルムを使ってみたところ,フィルムの周辺にカブリのような形で劣化があらわれていることがわかった。

Mamiya 135AF, Mamiya-sekor 38mm F2.8, Konica 100

周辺の劣化が目立たなくなるように,夜景を撮ることにした。フィルム感度の設定をより低感度にして露出オーバー傾向に撮影し,現像をやや浅めにすれば,少しはカブリが目立たなくなりそうである。また,夜景であれば本来の正確な色でなくても,おもしろい絵になるかもしれない。ともあれ,せいぜいこのくらいしか使い道がなさそうである。

Mamiya 135AF, Mamiya-sekor 38mm F2.8, Konica 100

昼間のふつうの風景を撮ると,フィルムの劣化が目立つだけである。有効期限(2005年6月)を大幅にすぎてしまったコニカのフィルムは,評判通り,劣化がかなりすすんでいるようである。

Mamiya 135AF, Mamiya-sekor 38mm F2.8, Konica 100

それに対してフジのフィルムは,同じくらいの古さ(有効期限2005年12月)で同じ場所で保管していたにもかかわらず,まだなんとか使えそうな状態である。退色しているような傾向は感じられるが,それは全体に均一に進行しているように見えている。これならば,補正などである程度は救えるだろうし,「期限切れフィルムの独特の色合い」を楽しむと称することも,できそうである。ともかくフジのフィルムでは,経年劣化の影響が,比較的ゆるやかであるといえるのかもしれない。このフィルムはまだまとまった量があるので,もうしばらくはフィルムで撮影を楽しめそうである。

Mamiya 135AF, Mamiya-sekor 38mm F2.8, FUJI 100

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