撮影日記


2022年11月03日(木) 天気:晴れ

常清滝はクマ出没注意

例年のことだが,11月3日は「晴れの特異日」といわれている。特異日とは,気象的にとくに意味はないが,統計的にたまたま「晴れ」になることが多い日のことをいう。だからちょうど,紅葉を撮りに行くのに好都合な日ということになる。前夜の天気予報も,今日は「晴れ」ると言っていた。
 久しぶりに,作木(現・三次市作木,旧・作木村)の常清滝を訪れることにした。上根峠をこえたあたりから,周囲は霧に覆われている。クルマのフロントガラスには,雨が降っているかのように細かい水滴がついている。常清滝へ通じる,国道375号線は,すっかり快適な道になった。出かけるのが少し遅くなったように思ったが,7時半には現地の駐車場に到着できた。
 山にはまだ,霧がかかっている。ここは谷が狭いので,この時期にきれいに晴れ渡ると,日なたと日かげの差が大きくなって撮りにくくなる。こんな光の具合のほうが,都合がよいのである。さて,常清滝への道を上がっていこうとしたら,たくさんの杖が用意されている。不用意にクマに出会うことがないように,「鈴のついている杖を使いましょう」とのことなので,利用させていただくことにしよう。また,人の声もあるとよいらしい。ひとりでぶつぶつ言いながら歩くのも妙なことになりそうなので,ラジオも鳴らしながら歩くことにする。ラジオといっても,こういう場所では受信状態があまりよくないので,スマートフォンのアプリ「らじるらじる」を利用する。

常清滝に,先客はいなかった。はじめてここを訪れたときには,おもにMamiya Universal Pressを使ったものだが,今日はお手軽にデジタルカメラを使う。フィルムの価格があがったことはまだ許容できるが,一定のペースで使い続けないと,どうにも使うのが億劫になる。
 三脚は,スリック・マスターでじゅうぶんである。スリック・マスターといえば,パン棒が1本の「フリーターン雲台」がセットになっていることでよく知られている。この雲台は,パン棒を緩めることで上下にも左右にも自由に向きを変えられる。向きが決まったら,そのままパン棒をひねって締めれば,固定される。とくに,古いタイプのフリーターン雲台はパン棒が長いので,向きの微調整もおこないやすいのである。
 ただ,ずっと以前にこのパン棒が折れてしまったので,その後,大きめの自由雲台に付け替えて使ってきた。そのときすでに,フリーターン雲台のモデルチェンジが進んでいてパン棒が短いものに変わってしまっていたため,パン棒だけを交換して使い続けるということができなかったのである。だが,数年前に,長いパン棒のついたフリーターン雲台の中古品(ジャンク扱い品)を見つけた(2018年9月1日の日記を参照)。今日は,初心に帰るという大げさな表現であるが,フリーターン雲台のついたスリック・マスターを使うのである。

時刻は8時を過ぎてもまだ,滝の上のほうは霧に覆われている。こういう日の早朝は,山の上からいわゆる「霧の海」が見られたものと思うが,これまでほとんど撮りに行ったことはないので,当初の予定通りに常清滝を訪れたわけである。光がよく回っている状態で,少し露出を多めにすれば,霧の中にあるという雰囲気を感じさせやすい。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED
Kodak DCS Pro 14n, SIGMA AF 14mm F3.5

常清滝は,1990年に「日本の滝100選」の1つとして,広島県内ではただ1つ選定されたものである。高さは126mあることになっているが,大まかに3段にわかれている。また,水量があまり多くないこともあって,落差が大きいのわりには滝つぼが発達していない,という特徴がある,だから,滝にぐぐっと接近して撮ることができる。そして,見上げれば,やはり深い霧のなかにあることもわかる。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

なお,この間ラジオはずっと,「北朝鮮が発射したミサイル」について,報じ続けていた。朝早くから,騒々しいことである。


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