撮影日記


2022年10月26日(水) 天気:晴れ

超期限切れカラーネガフィルムに
「たっぷり露光あっさり現像」は通用するか

モノクロフィルムの現像において,古くから「たっぷり露光,あっさり現像」という定石のような表現がある。黒くつぶれがちなシャドウ部のトーンを再現できるようにするには,撮影時に,シャドウ部を基準に露出を決めればよい。このとき,全体を平均的に測光した場合にくらべれば,ややオーバー目の露出となる。これが「たっぷり露光」の意味するところのようである。そしてその分だけ現像時間を短め,すなわち「あっさり現像」することで,適度な濃度のネガが得られるということだそうだ。「あっさり現像」は,つまり減感処理ということになる。そのため,粒子が目立たなくできるという効果も期待できるようである。
 使用期限を大幅に超過したコニカ「業務用カラーネガフィルム」(有効期限2005年6月)は,劣化によって色のバランスという点において,本来の性能を発揮しなくなっている。また,感度も低下し,粒状性も悪くなっている。そこで,「たっぷり露光,あっさり現像」という考え方が通用するのかどうか,なんらかの効果があるのかどうか,試してみることにする。

これまでも感度低下を意識して,ISO 100のフィルムをISO 50相当にして使うことが多かった。今回は,Nikon U2を使用し,露出補正をつねに+2EVにした状態で,もっぱらAEで撮ることにした。ISO 25相当で使うことになる。そして,現像はエクタカラーRAを使う。この発色現像液を1:1に希釈し,30℃で5分30秒の処理をすると,ほどほどな画像が得られることを確認している(2021年8月14日の日記を参照)。そこで,処理温度を28℃おさえ,処理時間も5分に短縮してみたところ,これまでよりはいくぶんか調子のよい画像が得られた。

Nikon U2, YONGNUO YN 40mm F2.8N, Konica 100

いくぶんか調子がよいとはいえ,均一ではない劣化は,隠しようがない。上部の青空の部分では,周辺や中央付近にカブリのようなものが見えるし,右上の木の葉の部分にもカブリのようなものがある。ただ,現像の進行を抑え気味にしたことで,少しは目立たなくなったのではないかと思える。劣化の影響が少なそうな部分は,なんとか見られる画像になっている。
 「たっぷり露光,あっさり現像」は,期限切れカラーネガフィルムにも通用しそうではあるが,ここまで劣化が進んだフィルムに対しては,「少しはマシに見える」程度であり,このフィルムを実用的に使うことは困難である。

Nikon U2, YONGNUO YN 40mm F2.8N, Konica 100

それでも,全体がモノトーンでシルエットを利用した構図であれば,状態のきわめて悪い期限切れフィルムの描写が,かえって似合ったりするような気がしないでもない。それはともかく,Nikon U2とYONGNUO YN 40mm F2.8Nの組みあわせは,軽快でよろしい。


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