撮影日記


2022年05月29日(日) 天気:晴

5月28日は「デジタル一眼レフカメラ」の日

世界ではじめて市販されたデジタル一眼レフカメラは,Kodak PROFESSIONAL DCSであるとされている。これはのちに,Kodak DCS 100ともよばれるようになったシステムで,Nikon F3の裏蓋に撮像素子を取りつけ,別のデジタル処理ユニットとケーブルで結ばれた形をしていた。バッファメモリの容量や,モノクロモデルかカラーモデルかなどの違いで,いくつかのモデルが用意されていた。Kodak DCSシリーズの開発にかかわっていたJim McGarvey氏による文書「The DCS Story」(2019年11月4日の日記を参照)によれば,DCS DC3,DCS DC3/32,DCS DC3/B,DCS DM3,DCS DM3/32,DCS DM3/Bという6つのモデルが用意されていたようである。日本カメラ「カメラ年鑑」(1993年版)によると,日本国内での価格は352〜417万円となっていた。
 「The DCS Story」の巻末の一覧表に記載された内容によれば,Kodak PROFESSIONAL DCS(Kodak DCS 100)がNewYork City press conferenceにおいて発表されたのは,1991年5月28日ということになっている。つまり,5月28日はKodak DCSの記念日であり,それはすなわち,デジタル一眼レフカメラの記念日とされてもよいはずである。

こういう記念日には,ぜひKodak DCS 100を使いたい。しかし残念ながら,そのような貴重な機種は,わたしの手元にない。kodak DCS 100はカメラ本体とデジタル処理部が別のユニットになっていたが,後継機のKodak DCS 200はそれらが一体化された。つまりこれは,世界ではじめて市販された一体型のデジタル一眼レフカメラといえる。このKodak DCS 200は入手しているのだが,内蔵されたハードディスクドライブが故障しており,撮影には使えない状態である(2020年10月14日の日記を参照)。
 結局,手元にあるデジタル一眼レフカメラでもっとも古いものは,Kodak DCS 460あるいはDCS 420ということになる。Kodak DCS 460を使う機会は多いので,5月28日にはKodak DCS 420のほうを使うことにした。ところが,しばらく使わないでいたうちに,内蔵させたバッテリーのうち1本がダメになっているようである。そこで急遽,バッテリーを交換し撮影に使うようにした。

Kodak DCS 420, TAMRON SP 90mm F2.5

チューリップの花の季節もおわり,公園に咲いていたムラサギサギゴケの姿も見えなくなった。いま楽しめる花としては,たとえばヒメヒオウギがある。その場所と相性がよければ,種がこぼれていくらでも増える厄介者ともいえるが,ともかくその花は可憐である。
 せっかく水をかけて撮影したヒメヒオウギの花であるが,撮像素子面にとんでもない量のゴミが付着している。これでは,色の調整などをする気も失せるというものだ。その原因は,すぐにわかった。バッテリーを交換するとき,デジタルバック部とカメラ部とを分離して作業をしていた。そのときに,大量のゴミが付着したのだろう。作業後には,撮像素子面を掃除しておくべきだった。デジタルバック部とカメラ部とを簡単に分離できる構造になっているため,撮像素子面の掃除がたいへんやりやすいことは幸いである。

Kodak DCS 420, TAMRON SP 90mm F2.5

気を取り直して撮像素子面を掃除し,今日はアマリリスのつぼみに水をかけて撮った。先日,Canon EOS 10Dで撮影したつぼみはずいぶんと開きはじめており,そのようすが左上に少し見えている。今日の被写体はそれとはまた別のアマリリスである。撮像素子が小さいので,拡大気味に撮影するのが楽しいから,ここでもたっぷりと水をかけている。霧吹きでちまちまかけるのではなく,ホースの先端を霧吹きモードにして,大量に吹きかけているのだ。

Kodak DCS 420, TAMRON SP 90mm F2.5

そして,つぼみの一部にさらに接近した。本来は縦位置の画像であるが,形状がおもしろくなるのであえて横位置にしている。また,本来の色合いからややずらしてマゼンタを強くすると,さらにおもしろさが増すように感じる。このように初期のデジタル一眼レフカメラでも,まだまだじゅうぶんに遊べるのである。

Kodak DCS 420, TAMRON SP 90mm F2.5

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