撮影日記


2018年07月24日(火) 天気:晴

日ざしが強いから印画紙で「四つ切1/2」を撮る

急に思いたって,1週間に1度くらいは「四つ切1/2」を撮ることにしようと考えた。
 ここのところ,連日の猛暑日である。そのかわり,毎日のように,強烈な晴天である。この光があれば,印画紙で代用する「四つ切1/2」判の撮影にも好都合だ。午前中はまだ,暑さもたいしたことがないかと思ったが,10時くらいでもたいがい猛暑である。この強い日ざしを肌に浴びるのは,暑いを通り越して痛いと感じるくらいだ。それではということで,袖やストールで腕や首筋を覆うと,とてつもなく蒸し暑いものになる。やはり,日傘が最強の防暑グッズとなるが,傘をさしたままでは撮影の操作が難しい。それは雨の日の撮影と同じこと,足元に機材を置いても,それが濡れる心配をする必要がないだけのことである。

Okuhara Camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO WP FM2

いつものように,1:1に希釈したミクロファインで現像し,スキャナで取りこんで反転処理をする。印画紙での撮影でも明瞭な画像が得られるのは,強烈な日ざしのおかげだ。
 最近,富士フイルムがモノクロフィルムの販売を再開するかもしれない,という話を耳にした。この4月に,富士フイルムがモノクロフィルムおよびモノクロ印画紙の販売を終了するというアナウンスがあった(2018年4月4日の日記を参照)が,その後,方針の転換でもあったのだろうか。ただ,販売を再開するかもしれないものに含まれるのはモノクロフィルムだけのようで,RCタイプの号数印画紙についてはとくに言及されていないようだ。
 印画紙を利用した「四つ切1/2」判の撮影をお手軽に楽しめるのも,あまり長くないかもしれない。

午後は,7月22日に撮ったポジフィルムの現像を依頼するために,ラボに立ち寄った。
 そこで,こんなお話しを聞いた。富士フイルムのモノクロ製品販売終了に対して,文化財関係者から「アーカイブ用途に困る」という声があがったという。最近,耳にした「富士フイルムがモノクロフィルムの販売を再開するかも?」は,そういう声に応じたものであろうか。もしそうならば販売再開の対象は,C-41処理のタイプではなく,伝統的なタイプのモノクロフィルムになるはずだ。
 一方で,モノクロフィルム販売終了のアナウンスを受けて,アーカイブの手段をディジタル化するべく,完全に舵を切った組織もあるという。そういうユーザは,予算配分等の都合上,もうフィルムのユーザとしては戻ってこない,とのこと。たとえば,定期的におこなっていたフィルムカメラのメンテナンスの依頼をしてこなくなった,というユーザもあらわれているらしい。そうなると,富士フイルムがモノクロフィルムや印画紙の販売を再開したとしても,じゅうぶんな利益を確保できるかどうかは,かなりあやしいものになってくるのではないだろうか。生産ラインが老朽化しているという事情もあるようなので,海外生産されたものを販売する可能性もありえるだろう。
 ともあれ,あっさりと「モノクロは,やめる」と言ってしまったのは,正しかったのだろうか,誤っていたのだろうか。富士フイルムは,「写真文化を守る」とは言ったが,「フィルムによる写真を守る」とは言っていない(2006年2月1日の日記を参照)。商売のことを考えたら,「やめる」は正しい判断なのだろう。一方で,業務上困るユーザが発声したいる以上は,「やめる」は誤った判断だっただろうか。
 そのほかに,Ektachoromeが復活してこの秋から正式に流通するらしい,というお話もあった。たたし販売されるものは135フィルムのみらしく,個人的には魅力がない。いつのまにか私自身も,すっかりディジタルカメラでの撮影に慣れてしまったようである。また,そもそも135フィルムの守備範囲こそ,ディジタルカメラが直撃した市場ではないだろうか。市場としては小さいかもしれないが,120フィルムやシートフィルムを供給するほうがフィルムの魅力が伝わるのではないかと個人的には思うのだが,商売上の判断としては135フィルムのほうが可能性が高いということなのだろう。

Kodak DCS 460, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8

ラボの人が語るには,アーカイブ用途の市場が小さくないことを重視すれば,まずカラーネガ,カラーポジが消え,モノクロがさいごに残るはずだったとのこと。実際にはそうならなかったのは,写真をわかっていない人が販売終了の判断をしたのではないかなどとも。

なお,ポジフィルムの現像は,いつのまにかすべて東京送りになっていた。そして,少し値上げされていた。まあ,まだ耐えられる価格である。このあたりは,市場の縮小や機器の老朽化など,さまざまな厳しい状況に直面しながらも,現像のインフラを維持してくださっているラボに,深く感謝したいところである。


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