撮影日記


2024年01月08日(月) 天気:曇

ウエストン850の目盛の幕は砕け散った

写真をきれいに写すためには,ピントと露出をきちんとあわせる必要がある。ピントについては,ピントグラスに写った像を観察することであっているかどうかを知ることができるが,露出についてはピントグラスに写った像を観察するだけではよくわからない。そこで,いろいろな方法や道具が工夫されてきた。露出表から係数を求めてた露出を決定する方法が考えられ,それを直線状あるいは円盤状の計算尺という形にして扱いやすくした「露出計」がいろいろと発売されてきた(2022年2月8日の日記を参照)。
 1930年代からは,電気露出計というものが市場にあらわれた。セレン光電池などの素子を使ってメーターの指針を振らせるなどして,明るさというものを客観的に示すことができるものである。はじめて市販された電気露出計は,1932年に発売されたWeston 617型とよばれる機種であり,1930年代末までには,いろいろなメーカーからいろいろな露出計が発売される状態になっていた。Westonからも改良されたモデルがいろいろと発売され,1935年に発売されたWeston 650型は,Weston 617型にくらべてずいぶんと感度がよいものになったようである(2023年8月16日の日記を参照)。
 1月1日に会った人からは,Weston 850型という露出計もいただいた。

これも,1930年代末に発売された電気露出計である。残念ながら不動状態であり,さらにメーターの目盛の可動幕が破れているようなので,なんとかしたい。
 しかし,このころのWestonの露出計のネジはプラスでもマイナスでもない特殊なもので,簡単には開けさせてもらえない。しかたがないので,キリでネジの左右を少し削って,いわゆるカニ目回しの先端が入るようにして,それで締めてむりやり緩めることにした。

そうしてなんとか開くことはできたのだが,この目盛の可動幕は紙や布のような素材ではなく,ビニルというか薄いプラスチックでできていたようである。それが溶けて固まり,そしてバラバラになったようで,とても元に戻せそうにはないのであった。元に戻せないだけでなく,紙で同じような目盛のある可動幕をつくろうにも,元の状態がわからないのである。

外見すら不完全ではあるものの,1930年代の電気露出計が2つになったことはすなおに喜びたく,譲っていただけたことに深く感謝するものである。


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