撮影日記


2023年08月25日(金) 天気:曇

素直に分解できるレンズはネジが多い

ニコンからはじめて発売されたオートフォーカス一眼レフカメラは,1983年のNikon F3AFである。カメラ側に測距センサがあり,そこからの信号でレンズのピントリングを動かして,自動的にピントを合わせるようになっている。ただし,Nikon F3AFで使えるオートフォーカス用のレンズは,後に発売されたオートフォーカス一眼レフカメラのシステムと互換性がほとんどない。そのため,実質的には,ニコンからはじめて発売されたオートフォーカス一眼レフカメラは,1986年のNikon F-501AFと考えてよい。
 Nikon F3AFで使えるオートフォーカス用レンズは,3本だけが発売された。その内容は,80mm F2.8,200mm F3.5という2本の単焦点レンズと,マニュアルフォーカスレンズと組み合わせてオートフォーカス撮影ができるようになる1.6倍のテレコンバータである。広角レンズや標準レンズ,ズームレンズは結局,発売されなかった。それに対して,Nikon F-501AFで使えるオートフォーカスレンズとしてまずラインアップされたレンズは4本で,50mm F1.8の標準レンズと,35-70mm F3.3-4.5の標準ズーム,70-210mm F4の望遠ズームと,1.6倍のテレコンバータであった(日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol.85,1986年2月)。なお,Nikon F-501AFではこれらに加えて,Nikon F3AF用に発売された3本のレンズも使用できた。望遠レンズから用意された(しかもそれだけで終わった)Nikon F3AFのシステムとは違い,はじめから広角寄りの35mmから,じゅうぶんな望遠効果のある210mmまでがカバーされたのである。
 Nikon F-501AFで使えるオートフォーカス用レンズは,すぐにラインアップが充実していった。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol.87(1986年9月)では,単焦点レンズが2本増えて3本(28mm F2.8,50mm F1.4,50mm F1.8)に,ズームレンズも2本増えて4本(35-70mm F3.3-4.5,70-210mm F4,35-105mm F3.5-4.5,28-85mm F3.5-4.5)になって,広角側が28mmまでカバーされるようになった。

先週,送られてきた荷物には,このときにラインアップに加わったAF Zoom-NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5Sも含まれていた。このレンズにも激しくカビが生じていたので,掃除することにした。

ピントリングを回すと,鏡胴の先端に多数のネジがあることがわかる。

ネジは6本ある。幸いにも,1つも固着気味のものがなく,スムースに外すことができた。そして,ネジをすべてはずすと,前群の部分は簡単に外れてくれた。このようにはずれてくれると,清掃は容易におこなえる。
 さらに,奥のレンズ群にもカビが見えていた。ここには,カニ目回しを使える穴がある。ズームリングを回転させてレンズ群をできるだけ手前に移動させれば,カニ目回しを使うことで簡単にはずすことができる。ここも,ネジの固着のようなものは感じられず,スムースにはずして掃除することができた。
 このAF Zoom-NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5Sのように,見える位置にたくさんのネジがあるのは,見た目としてスマートではない。昨日のAF Zoom-NIKKOR 70-210mm F4Sのように外から見えるネジは目立たないところに1つだけというのが,ずっとスマートである。しかし,分解のしやすさ(それは整備のしやすさにつながる)については劣ることになる。ここに,一種のトレードオフのような状況が生じている。同じメーカーから発売された同じ時期のレンズなのに,こういうあたりのつくりが違っているのは,おもしろい。

AF Zoom-NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5Sが使えるようになったわけだが,正直なところ,今となってはあまり魅力を感じないレンズである。
 とくに,先に発売されていたAF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5Sにくらべて,物足りない面ばかりが目立つのである。
 たとえば,カバーする焦点距離が105mmまで広がったのは,大きなアドバンテージだとは思う。それでも,望遠効果が顕著に感じられるようになるのは135mmくらいからだと思うので,105mm程度では中途半端である。さらに,最短撮影距離が1.4mという長いものであることも物足りない要因である。接写用のレンズでない100mmクラスの望遠レンズの最短撮影距離が1.4mというのは大きな問題ではないといえるが,35mmや50mmで使うときでもやはり最短撮影距離は1.4mなのである。

このレンズにはマクロモードというものがあって,ズームリングを長焦点側からさらに回せば,それなりの接写ができるようになる。しかしこのときはオートフォーカスが使えず,ズームリングを使ったピント調整はあまり使い心地のよいものではない。その点,AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5Sの最短撮影距離はズームの全域で0.35mであり,無限遠から連続的にピント調整ができるので,はるかに使い勝手がよいのである。


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