撮影日記


2016年10月19日(水) 天気:曇

F3.5とF2.8の差は,大きいか?小さいか?

最近,このようなレンズを入手した。

TokinaのAF287 (28-70mm F2.8-4.5)というレンズである。
 28-70mmくらいの標準ズームレンズとしては,高級モデルと廉価版モデルとがラインアップされていることが多い。通しでF2.8のものが高級モデルになっており,廉価版モデルの開放F値は,広角側ではF3.5からF4くらい,望遠側ではF5.6くらいになっていることが多い。
 そのことから考えると,望遠側ではF4.5だが広角側ではF2.8のこのレンズは,高級モデルと廉価版モデルとの間に位置することになる。日本カメラショー「カメラ総合カタログ Vol.100」(1991年)を参照すれば,重さ600gで通しでF2.8のAT-X 270AF (28-70mm F2.8)の価格は62,800円であるのに対し,重さ340gの廉価版AF270II (28-70mm F3.5-4.5)の価格は40,000円で,そこには大きな差がある。一方,重さ375gのAF287の価格は49,800円なので,廉価版モデルのAF270IIよりは少しだけ高価だが,高級モデルのAT-X 270AF Proにくらべれば,はるかに安価に設定されている。
 さて,Tokina AF287 (28-70mm F28-4.5)とニコンの廉価版標準ズームレンズAF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6Dとの明るさの差は,わずかに1/2段程度である。この差に,どれほどの意味があるだろうか。

以前と同じ場所(2016年9月29日の日記を参照)で,同じような条件で撮ってみた。

Kodak DCS Pro 14n, Tokina AF287 (at ISO 200)

AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6Dで撮ったときはシャッター速度が1/6秒〜1/3秒くらいになっていたのに対し,Tokina AF で撮ったときはシャッター速度が1/8秒〜1/6秒くらいになっている。これこそが,開放F値がF2.8とF3.5の力の差である。

Kodak DCS Pro 14n, Tokina AF287 (at ISO 200)

だがこのように流し撮りをする場合,少し明るいF2.8が使えるところで,その差に意味はなさそうである。

Kodak DCS Pro 14n, Tokina AF287 (at ISO 200)

発色にクセがあるのか,AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6Dで撮ったときほど,美しいと感じない。
 Tokina AF287で撮った画像はどことなく,高級モデルAT-X 270AF Proと同じように,やや緑に偏っているように感じるのだ。AT-X 270AF Proが緑っぽく写るのは,どうやらそういう味付けがされているようだが(*1),それが私の好みとはあわないようである。Tokina AF287も,似たような味付けがされているのかもしれない。
 開放F値がF2.8のレンズは,実際にF3.5よりも高速なシャッター速度を利用できる。だがその差は,わずかに半段というもの。最近のディジタル一眼レフカメラでは,高感度に設定したときの性能があがっているから,ますます半段くらいの差は,気にする必要がなくなっている。中途半端な高性能は,いまは流行らないことだろう。

*1 AT-X 270AF PRO (Tokinaレンズ開発企画担当者)
http://www.pictavern.com/column/detail?no=1246

コーティングもアンバー傾向のAT-X270AFからグリーンが良く発色するナチュラルな傾向に変更しました。


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