撮影日記


2010年09月30日(木) 天気:雨のち晴

Orikkorをはずす

ようやく,ペトリ35 F2.8のレンズを清掃する気になった。週末ごとにあった出張もひとまず終わり,仕事がちょっと一段落(といっても,一時的なものだが)して気分が軽くなったのかもしれない。あるいは,彼岸を過ぎて,暑さが急激にやわらいできたからかもしれない。とにもかくにも,その気になったのである。
 このペトリ35 F2.8は,梅田のマルシンカメラで,ジャンク品として売られていたものである(2010年7月3日の日記を参照)。シャッターは調子よく動いているが,Bにしてレンズを覗くと,まっ白で向こうがまったく見えない。したがって,レンズを清掃しなければ,まったくなにも写せない状態だ。ソフトフォーカス専用機だ,などと嘯くことすらできそうにない。

じっくりと,レンズを観察する。まっ白になっているのは,ただのクモリではなく,カビが生えているように見える。これがレンズの表面であれば清掃もしやすいわけだが,後群レンズの裏面に白いものがこびりついている状態だ。
 ペトリ35 F2.8に搭載されたレンズは,ペトリ・オリコール(Petri Orrikor 4.5cm F2.8)という自社ブランドの3群4枚構成のものだ。ペトリの製品は低価格を「ウリ」にしてきたものが多いために「安物」という印象がどうしてもつきまとうことになるのだが,シャッターも自社ブランドのペトリ・カーペル(PETRI CARPERU MXV)を使用するなど,一定の技術力はもっていたように思われる。そもそも,第二次世界大戦以前から皆川商店の「ファースト」ブランドのカメラを製造してきた実績があるわけだ。ただ,当時の雑誌等にけいさいされていた「ファースト」の広告を見ても,ペトリをつくっていた「栗林」の名前はどこにも見えない。「ファースト」のシャッターは精工舎,レンズは東京光学のものが使われていることになっている。それらは,栗林の工場でつくられていたのか,それとも別の工場でつくられていたのか,そのあたりはわからない。
 さて,レンズは3群4枚で,中群と後群レンズの間に,シャッターと絞りがあることがわかった。この種のレンズシャッター式カメラは,前群レンズを抑えているリングをはずせば,前から順にレンズを取り出せるようになっていることが多い。シャッターにBがあるので,後群レンズの裏側であっても,シャッターを開放して綿棒を使っての清掃が可能だ。
 だが,後群レンズも,抑えているリングをはずせば,簡単に取り出せるのであった。

 白いものをふき取ることはできたものの,レンズには,コーティングのムラのような跡が残ってしまった。まあ,あれだけまっ白になって向こうが見えない状態だったのだから,これくらいの跡が残るのもしかたのかいことか。向こうが見えるようになったので,少なくとも。ソフトフォーカス専用機だと嘯くことくらいはできそうである。


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