撮影日記


2010年09月21日(火) 天気:はれ

オリンパスPEN-EMの不思議な電池ボックス

昨日の日記の続き。
 入手したオリンパス「ペンEM」の復活は不可能だと思っていても,いざジャンクカメラを手にすると,なんとかならないかと考えてしまうものである。
 まずは破損している電池ボックスが,もともとはどのようなものだったのかを考えることにしよう。

プラスチック部品の一部が欠けているものの,必要な部品はほぼそろっているように見える。
 電源は,単3乾電池が2本。ここに電池は,どのような向きに入っていたのであろうか。単3乾電池2本を電源とするカメラでは,2本の単3乾電池の+−を互い違いに入れ,電池ボックスの蓋の側で+と−を直結させることで,直列になるようにしているものが多い。そのため,電池ボックス内あるいは,電池ボックスの蓋に,どちらが+になるかがわかる絵あるいは記号が記されているものである。しかし,「ペンEM」の電池ボックスにはそのような絵は見られない。

そこで,電池ボックスの蓋の部品をよく見ると,「+」と書いてあるように見える。

しかも,どちらも「+」だ。単3乾電池を2本使うカメラに対して私が抱いていた「常識」としては,これはありえない。ということは,この「+」に見える記号は,別のことを意味しているのであろうか?
 さらによく観察すると,電池ボックスの脇に,小さな金属のピンが見える。

これが,押せばひっこむようなものであれば,電池ボックスの蓋を閉めたことを機械的に伝達するようなものであろう。ところが,押してもひっこむようすはない。ということは,これは電気の接点だろうか?
 電池ボックスの蓋の部品には,長さの違う金属片が2枚,含まれていた。

これらを含めて,電池ボックスの蓋を,仮に組みたててみる。すると,電池ボックスの蓋には2本のバネがつき,そこから例のピンに,金属片が接するようになることがわかった。
 つまり,2本の単3乾電池は,どちらも電池ボックスの蓋の側を「+」にして入れることになるようである。ということは,これらの電池は大きな電流を流すために並列で使われるのであろうか?それとも,電子シャッターと,巻き上げ・巻き戻しのモーターとは,別々の電池で動作することになるのだろうか?
 このあたりは実際にカメラが動かないので,確認しようがない。
 ともあれ,電池の入れ方にしても独特なカメラである,ということは言えそうである。

カメラが動かないのだから,あまりいろいろと語ることもできないのだが,1つだけ気になったことを最後に書いておく。
 それは,このカメラは,大きくて重いことだ。ハーフサイズカメラの魅力の1つには,「小さい」ことがあげられる。とくにオリンパス・ペンシリーズは,「小さい」「安い」「よく写る」の3つの条件を満たしていたからこそ,大ヒット商品になったのである。ところが,「ペンEM」はその「小さい」という条件を満たしていない。
 当時のオリンパスの製品だから,たぶん,「よく写る」という条件は満足しているのだろうと想像する。しかし,「ペンEM」の価格は21,500円で,同年の「ペンD3」の10,300円にくらべれば2倍以上だ(*1)。「安い」という条件も満たしていないことになる。いかに最先端の機能をもち,自動化がすすめられたといっても,「小さい」「安い」という条件を満たさなかったハーフサイズカメラは,ほかのペンシリーズにくらべて,いまひとつ人気が高まらなかったものと想像できる。生産期間の短さとあわせて,いま,オリンパス「ペンEM」をあまり見かけない理由の1つになるだろう。

*1 http://www.olympus.co.jp/jp/corc/history/camera/pen.cfm


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