撮影日記


2010年05月29日(土) 天気:晴れ

沈下橋

増水時には水面下に沈んでしまうような橋を「沈下橋」という。
 沈下橋の特徴は,構造が簡単なため,架橋にかかる費用が少なくて済むことだ。壊れやすいが,壊れてもすぐに直すことができる。いや,増水時に橋に流木等がひかっかることでさらに大きな被害につながらないよう,むしろ壊れやすくつくられているものもあるとのこと。
 沈下橋は,交通量の少ない過疎地等に設けられていることが多い。たしかに太田川でも,広島市内にあたる範囲には私の知るかぎりは見あたらない。ところが芦田川では,福山の市街地からそう遠くない場所でも沈下橋が集中して見られるところがある。

国道2号線から芦田川の土手に入り,上流へ向かってクルマで走れば,やがていくつかの沈下橋を見かけることになる。沈下橋へ下って行く道もちゃんとあり,クルマで向こう岸へ渡ることも可能だ。そのような場所の河川敷は,一方が公園として整地されているところもあり,撮影のためにクルマをとめるにも好都合である。
 今日も,カビネ判の印画紙「フジブロWP FM2」での撮影である。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2 (ISO 1.5) / SPD (30sec)

まずは,ISO 3で測光した値を1段プラスして,ISO 1.5で撮影。撮影した印画紙をSPDに浸すとみるみる黒くなり,今回は120秒どころか30秒たらずで現像を打ち切ることになる。それでも「フジブロWP FM2」で密着焼きすれば,実用的な画像が得られる。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2

沈下橋には,欄干がない。先にも書いたように,増水時に流木等がひっかからないようにするためである。欄干がないと,やはりなにかと不安なのだろうか。撮影している間,ここを歩いて渡る人は見かけなかった。ところが,クルマはけっこう渡る。軽自動車ばかりでなく,普通車だって渡って行く。で,欄干がないからおそるおそる渡ることになるのではないかと思うのだが,みんなものすごいスピード(のように見える)で渡って行くのだ。こんなところを渡るのは地元の人ばかりだろうから,みんな慣れているのかもしれない。あるいは,こんなことも考えられる。この橋の上にはクルマどうしがすれ違えるようなスペースはない。お互い,相手を待たせぬよう,一気に渡ってしまおうという暗黙のルールができているのかもしれない。
 この橋を歩いて渡る人がいないのは,クルマが猛スピードで渡って行くので「あぶない」ということだろうか。まあ,そもそも,ここを歩いて渡るような用事がないのかもしれないが。
 ともあれ猛スピードで渡って行くクルマを,ISO 3相当の露光時間(F11, 1sec)で写しとめられるはずもないのである。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2 (ISO 3)

今回の問題は,露光時間。ISO 3を基準にオーバー気味の露光を与えているわけだが,前回にくらべて現像の進行が早い。そのせいか,全体として,ムラになっている。「ISO 3を基準」のままでよいのだろうか。また次の機会に試してみることにしよう。


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