撮影日記


2010年05月30日(日) 天気:晴れ

板塀

2010年5月26日の日記で紹介した雑誌「大阪人」(*1)の特集は,「東住吉感謝祭」。特集の冒頭の見開きには,東住吉区内で見られる光景が,コラージュのように多数並べられている。そのなかでは,なぜか「板塀」を撮ったものが多い。おもに「レトロ」っぽい光景やオブジェをねらっているように見えるので,板塀もレトロな光景の1つとして考えられているのだろう。
 たしかに,最近,塀で囲まれるような家が新築されることは少ないだろう。とくに都市部では。新築される一戸建は,道路に面したところはマイカーが出入りしやすいように,可動式の柵が設けられることはあっても,塀で囲まれることはなかなかない。まとまった敷地があれば,マンションが出現するような時代でもある。少し郊外で,敷地にゆとりがあるようなところでも,生垣や柵で囲むことはあっても,板塀で囲むことはあまりないのではないだろうか。
 都市の光景は,日々変化している。そのように考えると,今後,広島においても板塀が減ることはあっても,増えることはほとんど期待できないことになる。

そこで今日は,板塀をさがしてみることにした。するとさっそく,板塀のすきまから,なぜか木が生えているところに出会うのだった。

Nikon F90X, SIGMA AF14mm F3.5, 100DELTA
EL-NIKKOR 50mm F2.8, FUJIBRO WP FM3

板塀があるようなところには,木の電信柱も残っている。看板に書かれた電話番号は消えかけているが,まだ市内局番が1桁だったころのものであることだけは,なんとかわかる。古くからの町には,このような古いものが残っていることがある。こういうものの存在に気がつくことも,楽しいことである。

Nikon F90X, SIGMA AF14mm F3.5, 100DELTA
EL-NIKKOR 50mm F2.8, FUJIBRO WP FM3

つづいて,近くを通る県道に出てみる。この県道は,旧国道であり,山陽から山陰へ通じる旧街道である。そして両側には,レトロな雰囲気を漂わせる建物が散在している(2009年1月17日の日記を参照)。だから,被写体には事欠かないと期待できるのだが,クルマの通行が多いのが難点。
 そのつくりから,かつてはお店として使われていた思われる建物も多い。そのようなお店は,すでに廃業しているわけだが,そんななかで古くから続く現役のお店であることを主張していたのが,これだ。

Nikon F90X, Tokina AT-X270AF 28-70mm F2.8, 100DELTA
EL-NIKKOR 50mm F2.8, FUJIBRO WP FM3

妙に,存在感のある看板だ。この道をクルマで通るときにもよく目立っているので,以前からずっと気になっていたものである。「千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)」では,日本には100年以上続いている老舗が10万件以上あると推定されていることが紹介されている。このお店も,そういう10万件のなかの1つということか。まあ,10万件もあれば100年以上続いている老舗はそう珍しい存在ではないことになるが,それでも100年以上続いているのは,立派なことである。

*1 http://osakajin.osakacity.or.jp/


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