撮影日記


2008年02月09日(土) 天気:曇ときどき雪

いまさらながらのPENTAX SP

広島市の水道水は,決して悪いものではないと思う(広島市の水道水に関しては,2007年11月28日の日記も参照)。少なくとも,はじめて広島市の水道水を飲んだとき,「おいしい」と感じたのは事実だ。もっとも,「最近は昔ほどはよくないよ」という声を聞くことがある。まあ,「おいしい」と感じるかどうかには,個人差があるだろう。また,自分の住んでいるところに,なんらかの不満をもつ人は,なんだって否定的にとらえたくなるということもあるかもしれない。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い,というようなものだろうか。
 水道水は悪くないと感じているが,「名水」とされる水は,やはり水道水よりは質がいいのかもしれない。たとえばお茶を入れて時間が経ったときなどに,とくに大きな差を感じたりする。私がよく水を汲みに行くところの1つに,旧・筒賀村の竜頭峡がある。三段峡や筒賀神社の大イチョウなどを撮影に行ったその足で立ち寄ることができるのがありがたい。しかし,冬期は,とくに三段峡へ撮影に行くことがほとんどなくなってしまったりするし,竜頭峡あたりは十分に除雪されていないここともあったりするので,少々足が遠のくのである。
 私がよく水を汲みに行くところとして,もう1つ,旧・千代田町の八王子・よみがえりの水というところがある。竜頭峡にくらべれば近いし,水を汲む口が3つあって水の出もよいため,待ち時間が長くなることも少ないなど,汲みやすいのである。
 自宅の汲みおきの水が少なくなったので,今日は,よみがえりの水を汲みに行くことにした。可部を過ぎて鈴張あたりまでくると,ちらほらと雪が舞うようになってきた。天気予報では,夕方以降に雪が降ることを示唆していたが,すでにかなりの雪が降っている。もっとも,積もりそうなようすは見せないので,運転に支障を来たすことはないだろう。現地まで,路面に雪が残っているようなこともなく,無事に到着。
 竜頭峡の水汲み場は駐車場のすぐそばなので,汲んだ水を車に積むのに問題はない。しかし,よみがえりの水では,駐車場から少し坂道をあがった先に水汲み場がある。そのため,駐車場のそばには,水を運ぶための一輪車が用意されている。水汲み場にはお賽銭箱が設置されており,浄財は水源を維持するために使われるという。この一輪車の費用も,そこからまかなわれているのかもしれない。ちなみに,ここでいう一輪車は,よく小学生などが乗って遊んでいる,サドルとペダルがあるあの一輪車ではない。荷物などを載せる前方に車輪がついていて,後方の柄をもって,押して運ぶ方の一輪車である。「ねこ車」と言った方がわかりやすいだろうか。もしかすると方言のようなものであり,「ねこ車」といってもピンとこない方があるかもしれぬ。もっとも,なぜ「ねこ」なのかは,よくわからない。
 ともあれ,タイミングよく先客がおらず,とっとと水を汲むことができたので,「ねこ車」のことを考えるのはやめておこう。ちょっと石段をあがってみると,雪が激しく降ってきたので,もう帰ることにする。

可部まで帰ってくると,雪はやんでいた。だから,というわけではないが,久しぶりに「カメラのキタムラ 可部店」に寄ってみることにした。
 ここではかなり以前に,トキナーの400mm F5.6レンズ(SL400)の中古品を買ったことがある。見た目はかっこいいレンズで,リアフォーカス式で使いやすそうに思われた。もちろん安かったとはいうものの,写りは明らかに甘いもので,付属の三脚座はあまりにも華奢であり,とにかく私にとっては「使えない」レンズであった。まあ,古い超望遠レンズに,多くのものを期待してはいけないのだろう。その後,わりとすぐにAi Micro-NIKKOR 200mm F4の中古品を購入する機会があり,その際に手放した。購入した機材を手放すことの少ない私には珍しい行動である,と,自分では思う(笑)。そんな私が手放したのだから,いかに物足りないものだったか,ということである。使わずにもっていてもいいのだが,そのレンズにはそれなりの大きさと重さがある。その大きさ,重さも,私がそれを手放す理由になったのかもしれない。
 その後,その店でモノクロ用品を扱うことをやめることにしたのか,印画紙等がセールになっていたことがあった。ともあれ,そんなとき以来,少なくともここ5〜6年間は「カメラのキタムラ 可部店」には立ち寄っていなかったような気がする。「カメラのキタムラ あけぼの店」ほど中古カメラに力を入れてはいないだろう,とは思ったが,お店に入ると奥の方に「中古カメラ」というショーケースが見える。近づくと,ショーケースの隣に,何台かのカメラが手に取ることができる場所に置いてある。なんと,ジャンクコーナーだ。まず,トキナーのズームレンズ付きのリコーXR500が気になった。価格は¥3,800である。値札には,カメラ・レンズの状態が簡単にメモされており,これはほかではあまりみかけないが,購入の際の参考になるおもしろいサービスだ。それによれば,このリコーXR500はいちおう動くようだが,この購入は見送ることにした。リコーXR500は発売当時,TTL開放測光一眼レフカメラとして「常識破りのサンキュッパ」として大いに話題になったカメラである。カメラの歴史上,記憶されるべき名機なのだ。しかし,このカメラを入手するなら,レンズはXR RIKENON 50mm F2でなければならない。RICOH XR500(ボディ ¥28,300),XR RIKENON 50mm F2(レンズ ¥9,000)とケース(¥2,500)のセットでサンキュッパ,¥39,800だったのである。ケースはなくてもいいが(ずっともっておくことを考えれば,ない方がいいのだが),XR RIKENON 50mm F2がなければ意味がない。リコーXR500は大ヒット商品になり,多数が市場に流通していると思うのだが,意外と見かけないものである。「常識破りの第2弾 ヨンハッパ」のXR1000Sは,さらに見かけないように思う。ま,こちらはXR500ほどには売れなかったのかもしれない。
 さて,目を少し下に向けると,そこには中古カメラ店でよく見かけるカメラがあった。ASAHI PENTAX SPOTMATIC,すなわち,ペンタックスSPである。これも,発売当時は大ヒット商品になったカメラだ。そのせいか,中古カメラ店でよく見かけることになったのだろう。PENTAX SPにはTAKUMAR 55mm F1.8がついて売られているのを中古カメラ店ではよく見かけるが,ここにあったPENTAX SPにはカビが見られるものの,SUPER-TAKUMAR 50mm F1.4がついている。露出計の動作は,いまさら期待していない。シャッターは全速,いちおう動いているようだ。これで¥1,000ならば,救出することにしよう。
 じつは,私はまだ,PENTAX SPを入手していなかったのである。
 あまりにも出回っている数が多くて,ありがたみを感じなかったからかもしれない。あの「中古カメラブーム」の時代に,「金属製カメラだから」という理由で,妙に煽られているような印象を受けたことへの反発かもしれない。いや,単に,私の内部での優先順位が低かっただけかもしれない。とにかく,今まで入手の機会は少なくなかったと思うのだが,これまで入手していなかったのである。
 たぶん,ミノルタSRシリーズあたりも,同様の理由で入手を見送っているに相違ない。

さて,「カメラのキタムラ 可部店」を出ると,雪が激しくなっていた。しかしそれも,七軒茶屋あたりまでくると,もう降っていない。もはや路面に濡れた形跡すら,ほとんどわからない状態になっていた。だいたい,国道54号線を走ると,可部あたりで雪がちらちらしていても太田川橋を渡ると雨に変わっており,さらに祇園大橋を渡るとその雨もやんでいる,そんな印象を受けるものだが,今回は祇園大橋を渡るまでもなく,雨はやんでいたようだ。


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