撮影日記


2008年02月05日(火) 天気:晴れ

初代マミヤプレスがやってきた

2008年02月02日の日記のつづきである。

八百富写真機店(大阪駅中央店)を出て,次に向かうは,大阪駅前第1ビルである。ここには数件のカメラ店が入っているが,いちばんの目的とするのはマルシンカメラである。ここは,お店の看板に「アマチュアの店」と書かれているのが,なんとなく楽しい。そして,ここは「ジャンク」商品が豊富なことが,さらに楽しいのである。
 お店の入口に近い側には,比較的新しいAF一眼レフカメラのジャンク品が目立つ。そして,奥に行くほど,おもしろそうなものが増えてくるという印象がある。そのため,いつも奥の方から物色をはじめることにしている。
 まず,さっき入手したばかりのF-501用レンズがなにかないかと考えた。今日は,ニコン用のレンズを持ってきていない。たちまちつけるレンズがないのである。Ai NIKKOR 80-200mm F4やシグマのAF28-200mm F3.8-5.6などのレンズが見つかるが,価格はどちらも3000円前後。ちょっと手を出す気にはならない。次はなにかコンパクトカメラで変わったものがないか,探してみた。ちゃんと動いているっぽいオリンパスPEN EE-3は,少し気になった。非常にポピュラーな存在だったはずのオリンパスPEN EEを,まだ1つも持っていないのである。また,ヤシカDiaryというコンパクトカメラも気になったのだが,価格的にいまひとつ納得できないのである。一眼レフカメラのフジカAX-1も気になったが,復活の可能性があるのかどうかすら見当がつかないので,手を出すのは躊躇われるのであった。
 また,ときとしてクラシカルなカメラも,ジャンクコーナーに混じっている。奥の方に,木製一眼レフカメラのような物体があった。朽ち果てそうな状態であるにも関わらず,それなりの価格である。また,その素性もわからないのでこれも見送りだ。
 そんな中で1つ,その存在を私に強烈にアピールしているカメラがあった。それは,一瞥しただけでその正体がわかるものであった。

初代マミヤプレスである。価格は¥4,200であるが,いちおうレンズMamiya-sekor 90mm F3.5とピントグラスホルダも付属している。
 マミヤプレスは,プレスタイプの6×9判カメラとして,1960年に発売された。国産カメラには,6×6判よりも大型のものがほとんどなかった時代である。6×9判ないし4×5判の撮影ができる国産カメラは,マミヤプレスのほかには,トプコン・ホースマンプレス,トヨビューとアートビューだけだったようだ(「写真工業」1960年12月号の記事による)。マミヤプレスは,他の3機種とは異なってアオリが後部アオリだけに限定されているものの,全体に小型軽量であり,レンズ交換や距離計への連動が簡単にできるようになっている。スナップ等にも向いたカメラであるとも紹介されている。
 発売当時のマミヤプレス用交換レンズは,3本あった。標準レンズMamiya-sekor 90mm F3.5,広角レンズMamiya-sekor 65mm F6.3,長焦点レンズMamiya-sekor 150mm F5.6である。本体のファインダーにはマスクが内蔵されており,Mamiya-sekor 150mm F5.6を使うときの写野に対応できるようになっている。Mamiya-sekor 65mm F6.3を使うときは,ファインダーを別途,アクセサリシューに取りつけることになる。
 マミヤプレスは,大きく「旧プレス」と「新プレス」の2種類にわけて考えることができる。「新プレス」に該当するものはマミヤプレススーパー23とマミヤユニバーサルプレスの2機種であり,「旧プレス」に該当するものは初代マミヤプレス,マミヤプレスG,マミヤプレスS,マミヤプレススタンダードの4機種になる。なお,マミヤプレスSは,フィルムホルダ等は他の機種と共用できるものの,レンズが固定式になっており,シリーズ中の異端者的存在となっている。また,マミヤプレスGは交換レンズが共用できるものの,グラフロックバックを使用するようになっており,他の機種とフィルムホルダが共通ではなく,これも異端者的存在である。となると,正統派の「旧プレス」は,初代マミヤプレスとマミヤプレススタンダードの2機種だけということになる。
 「旧プレス」用レンズと「新プレス」用レンズとでは,レンズのデザインが大きく異なる。また,後に発売されたレンズには,Mamiya-sekor 250mm F5など「スーパー23およびユニバーサル専用」として「旧プレス」では使用できないものもある。レンズマウントの形状は,「旧プレス」用レンズも「新プレス」用レンズも同じであるが,「旧プレス」はレンズをはめて時計回りに回して固定するバヨネット式になっているのに対し,「新プレス」はレンズをはめたあと周囲のリングを回して締めるブリーチロック式になっている。基本的には共通のシステムであるが,細部で微妙に異なっているのが,「旧プレス」と「新プレス」の関係と言えるだろうか。

この初代マミヤプレスは,私にとってはじめての「旧プレス」となる。「新プレス」である,マミヤユニバーサルプレスとくらべてみると,明らかに一回り小さい。付属していた標準レンズMamiya-sekor 90mm F3.5もコンパクトである。これまで,マミヤユニバーサルプレスを使って,いろいろと写真を撮ってきた。今後も,マミヤユニバーサルプレスを使うことが多いと思う。なんといっても,長年使ってきた道具ほど,信頼できる道具はないのである。しかし,コンパクトにまとまっている初代マミヤプレスも,積極的にスナップ的な撮影に使ってみたいと思っている。
 さて,最初にこの初代マミヤプレスを持ち出すのはいつか,そして,撮影対象になるのはなにか。それはまだ,誰も知らない。わからない。


← 前のページ もくじ 次のページ →