撮影日記


2006年08月17日(木) 天気:くもり

あかい梅花藻の正体は

伊吹山からの帰路に,醒ヶ井(さめがい)というところに立ち寄った。
 醒ヶ井は,中山道の宿場だった町で,現在でも古い町並みを残している。この町のなかを,地蔵川という小さな川が流れている。この水は,きれいで冷たく,民家はこの川に沿って並んでおり,野菜を洗ったり,スイカや麦茶を冷やしたりなどといった風景も見られる。この川の源は「居醒の清水」とよばれ,この地区の水は,古くからきれいな水として知られているようである。

川の流れでやかんを冷やす・・・・。
Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G

そのようなきれいな水が流れる地蔵川には,バイカモとよばれる水草が多く見られる。バイカモは梅花藻とも書かれるが,少し見れば,この花が梅の花に似ていることからその名がつけられたであろうことは,容易に想像できるであろう。白い小さなバイカモの花が,水の中で無数にゆらめいているのは,見ているだけで実に涼しげである。

バイカモ(梅花藻)の花
Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G

川に沿ってしばらく歩いてみると,白いバイカモの花の間に,ぽつん,ぽつんと,赤いものが混じっているのが見える。
 ウメには,白梅,紅梅などとよばれる,白い花のものや赤い花のものがあるのは,よく知られているだろう。バイカモが咲いているところに,赤いものが混じっていれば,ウメと同様にバイカモにも,白梅,紅梅に相当するものがあるのだろうか?と,想像する人は多いはずだ。だから,川を覗きこんだのである。
 ・・・が,それは,ウメの花には見えない。その正体は,川辺に生えているサルスベリの赤い花が落ちたものであった(笑)。

バイカモ(梅花藻)の群落の中にサルスベリの花が落ちている。
Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G

いや,笑い事ではないらしい。話を聞くところによると,「今年は,赤いバイカモは咲いていないんですか?」という問い合わせが,たまにあるとのことだ。なんでも,この地を紹介する絵ハガキなどでは,赤いサルスベリの花が落ちた状態の写真がよく使われているらしい。たしかに,こういう状態の方が,見た目にもはなやかで印象が強くなるだろう。しかし,そのような写真を見て,ウメに白梅と紅梅があるように,バイカモにも白花と紅花があるのだろうと期待してしまう人も,少なからず存在するのは事実のようである。

醒ヶ井駅前に,水飲み場があった。当地自慢の清水とのことである。特別においしい水というわけでもないと思うが,暑い日であるから,冷たい水はとてもおいしく感じられるのであった。


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