撮影日記


2006年08月18日(金) 天気:曇のち暴風雨

忘れられがちなローライフレックス

最近,「舶来品」ということばを,あまり聞かないような気がする。「舶来品」というと,そこには,非常に高価な品物というイメージがつきまとう。もっとも「舶来」ということばは,「船で運んできた」という意味であり,そこには「高級」という意味は含まれていないのであるが,わざわざ外国から,手間と時間をかけて船で運んでくるものは,基本的に高級品であったということであろう。
 さて,「高級舶来カメラ」(ここではわざわざ「高級」という修飾語をつけてみた)というと,まず連想されるものは「Leica」と「Contax」(「CONTAX」ではない)であろう。これらは,35mm判小型カメラの実用性を証明し,さらにその規格を定着させた歴史的貢献者でもある。カメラそのものの人気は,「Leica」の方がはるかに「Contax」に勝っているようだが,レンズについては,「Leica」用のレンズよりも「Contax」用のレンズの方が,はるかに人気が高いようだ。
 「Contax」は,Carl Zeissというグループのなかの1企業であるZeiss Ikonが製造したカメラであり,「Contax」用レンズはCarl Zeissが提供していた。Carl Zeissのレンズは,Zeiss Ikon以外のメーカーのカメラ用としても提供され,そのレンズを搭載したカメラもまた,名機の1つとして数えられることが多くある。
 「Leica」や「Contax」が登場し改良が進められていたころを代表するカメラとして忘れてはならないものに,「Rolleiflex」がある。これは,「Leica」や「Contax」とは異なり,120フィルムを使用する6×6判の二眼レフカメラである。「Rolleiflex」にはCarl Zeissのレンズも搭載され,それも人気が高まった理由の1つになったことであろう。

ローライフレックス オートマット

「Rolleiflex」は,改良が加えられながらその製造が続けられていく。しかし,二眼レフというスタイルは,第二次世界大戦後に主流となってきた一眼レフというスタイルにくらべて,撮影上の制約が多い。やがて,「Hasselblad」(これもCarl Zeissのレンズを使うことができるようになっている)などの6×6判一眼レフの普及にともなって,二眼レフの「Rolleiflex」は,どちらかというと実用性よりも趣味性の強いカメラになってしまったといえるだろう。その後,6×6判一眼レフとしての「Rolleiflex」も発売されたが,商業的には「Hasselblad」ほどの成功をおさめていないように思われる。

一眼レフというスタイルが主流になったのは,6×6判カメラだけではない。35mm判カメラも,一眼レフというスタイルが主流になり,「Leica」や「Contax」のような距離計連動ファインダーをもつカメラは,市場における割合が減少していくことになる。やがて,「Contax」を製造していたZeiss Ikonは,カメラの製造から撤退した。そして,最後に製造していた一眼レフカメラの基本構造を受け継いだカメラが,「Rolleiflex」の名前で発売された。

ローライフレックス SL35M

これは,35mm一眼レフとして登場した「Rolleiflex SL35」を開放測光ができるように改良したモデルである。後に「Hasselblad」のような箱型で,バック部も交換できるようなモデルも登場するが,いつしかこのシリーズはその存在を忘れられていったかのように思われる。
 「Leica」からも35mm判一眼レフカメラは発売され,「CONTAX」という名前の一眼レフカメラも登場した(それ以前に,「Contax」という名前の一眼レフカメラも存在した)。「Rollei」の35mm判一眼レフカメラは,カメラ前面のロゴが「Rollei」ではなく,「Rolleiflex」になっている。これは,かつての「Rolleiflex」のネームバリューを活かしたいという思いのあらわれであろうか。


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