撮影日記


2006年06月12日(月) 天気:曇

ミノルタ「AF−C」というカメラ

35mm判レンズシャッターカメラは,カメラの普及において,大きな存在であった。それは単に安価なカメラを目指しただけではなく,誰にでも写真を撮ることができるように,さまざまな自動化が意識されてきた。
 まずは,自動露出機構が,一般的になっていった。
 考えようによっては,露出には「正解」はたくさんあるだろう。しかし,「普及品」としては,たとえば人物の顔が暗くつぶれていなければよいのである。ある程度,平均的な露出が与えられれば,プリント時になんとか救われるのである。だからこそ,誰にでも使えるカメラとしては,露出こそは自動化されているべきである。

露出が自動化されて,明るいところで撮っても暗いところでも撮っても,プリントのできるネガを得ることが,誰にでもできるようになった。しかし,暗いところでは,露光時間が長くなって,ブレの影響も出てくる。そこで,フラッシュ撮影をおこなうことになるのだが,そのためにはGN値をもとに計算をおこなって,絞りの値を決める必要がある。さらに,決めた絞りの値を設定するという操作が必要になる。外光式オートとよばれる自動調光のフラッシュを使うとしても,絞りの設定は必要になる。だから,フラッシュが内蔵されたコニカ「C35EF」通称「ピッカリコニカ」が,大ヒット商品になったのは当然である。もっとも難しい,面倒な操作が,「スイッチをオンにする」だけでできるようになったのである。したがって,「フラッシュが内蔵されていること」は,誰にでも使うことができるカメラとしては,必須の条件である。

そして,オートフォーカスのカメラが登場した。最初に商品化されたものは,コニカ「C35AF」通称「ジャスピンコニカ」である。このカメラも,もちろん,フラッシュを内蔵している。
 その後,これら「コンパクトカメラ」には,フラッシュが内蔵されるのが一般的になった。例外的なものとしては,たとえばオリンパス「XA」のシリーズがある。これは,とくにコンパクトなカメラを目指したものであり,専用フラッシュがオプションになっているのである。もっとも,専用フラッシュしか使うことができず,それを使うときは,スイッチをオンにするだけで使えるという「簡単さ」は,失われていない。

オリンパス「XA」シリーズ以外の例外として,ミノルタ「AF−C」というカメラがある。これは,オートフォーカスのコンパクトカメラであるが,専用フラッシュがオプションになっている。オートフォーカスで,フラッシュが内蔵されていないコンパクトカメラとしては,このほかにはキヤノン「MC」,コニカ「ヘキサー」くらいしか例がない。オートフォーカスで,フラッシュが内蔵されていなくて,手動巻き上げのコンパクトカメラというと,このミノルタ「AF−C」が唯一の存在だろう。

このカメラは,やや高級なコンパクトカメラであった。当時の,オートフォーカスのコンパクトカメラよりもやや高価な価格が設定されていた。搭載されている35mm F2.8のレンズは,6群6枚構成の,高級なものである。そういえば,ミノルタ「AF−C」と同様に,オートフォーカスでフラッシュの内蔵されていないコンパクトカメラ,コニカ「ヘキサー」も,「高級コンパクトカメラ」として分類される製品であった。
 コニカ「ヘキサー」は,「高級コンパクトカメラ」ブームのなかでそれなりに売れたようで,中古カメラ店の店頭では,よく見かける。一方,ミノルタ「AF−C」は,あまり売れなかったのだろうか,めったに見かけることはない。


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