撮影日記


2006年05月03日(水) 天気:晴

111111km

自動車税の季節がやってきた(自動車保険の季節とおよそ半年ずれていることは幸いである)。最近は「グリーン税制」と称して,新しい「低公害車」などの税率を引き下げるという制度が新設されている。新しく自動車を買うときに,「低公害車」を選んだら,税金とかを安くしてあげますよ,という制度であり,これによって,「低公害車」の普及につなげようというのであろう。
 思えば,自動車の排気量は,年々大きくなってきているように思う。
 長年,もっともよく売れているシリーズに,トヨタのカローラがある。1966年の初代カローラの排気量は1077ccだったというが,最近のカローラ(セダン)の排気量は1794ccのモデルまである。排気量が大きくなってきた背景には,最近の「安全性」対策もあるだろう。より乗員が安全になるように,より頑丈で余裕のあるボディが求められるようになり,その重量増加を補うために,排気量が大きくならざるを得なくなっていると考えることができるだろう。
 また,かつて,個人で自動車をもつことができたのは,一部の豊かな家庭だけであった。そのころの自動車は,ステイタスシンボル的存在であり,より大きな自動車は,よりそのステイタスが大きくなっていたものである。そもそも,初代カローラの1077ccという排気量は,1000ccクラスの他社の商品に対しての「プラス100ccの余裕」というセールスポイントになっていたのである。
 そういった,くだらない見栄のために,単純に大排気量の自動車を求めることは,環境への負荷を考慮するという最近の風潮のなかでは,戒められるべきだろう。そういう意味では,「グリーン税制」は評価されるべき存在である。

しかし,この税制と抱き合わせるかのように,もう1つの制度が導入されている。それは,新車登録からある程度の年数が経過した自動車については,自動車税がアップする,という制度である。
 たしかに,古くなった自動車は,最近の自動車にくらべて,環境への負荷が大きいかもしれない。また,整備が悪ければ,さらに大きな負荷にもなるだろう。もっとも,整備の問題については車検制度などできちんと対応させればよいことである。
 古くなった自動車の自動車税をアップさせることで,新しい「低公害車」への乗換えを促進させる,というねらいなのだろうが,「まだ使える自動車を捨てて,新しい自動車に乗り換える」ことが,どれだけ環境への負荷になるのか,ということについては,考慮されていないのであろうか。結局は,「自動車を次々に買い替えさせる」ための制度であるにほかならないのである。古い自動車を,いつまでも大切に使い続けること,これこそが「MOTTAINAI」の精神である。

もっとも,私の乗っている自動車は,そんなに「古い」わけではない。今日,ようやく走行距離が「111,111km」に達したばかりである。

111111km到達の瞬間

ま,ここだけの話であるが,そもそも「環境に優しい」タイプのモデルではない。いや,それでも,「まだまだ使える自動車」を捨ててまで,新しい自動車に買い換えなければならない必然など,どこにもないのである。


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