撮影日記


2006年04月21日(金) 天気:曇のち雨

さらば,マミヤ。か?

夕方,衝撃的なニュースが飛びこんできた。マミヤ・オーピー株式会社が,光学機器事業から撤退するというものである。マミヤ・オーピーは,第二次世界大戦前から「マミヤ」ブランドで製造されてきたカメラのブランドを引き継いできた企業である。かつて,中判カメラ,35mm判カメラ,ミニチュアカメラなどさまざまな形態のカメラを発売してきていたが,1980年代の経営危機の後は釣具の老舗メーカー「オリムピック」に吸収合併され,中判カメラ専業メーカーという状態になっていた。
 フジ「GA645」やペンタックス「645N」など,「押せば写る」ようなしくみの中判カメラの登場によって,アマチュア層にも中判カメラユーザが広がりを見せたことは,「マミヤ」ブランドのカメラにとって好材料になったと思える。しかし,近年,プロ,アマチュアを問わず,ディジタルカメラを使うケースが増えてきたことが,中判カメラの売れ行きにも大きな影響をもたらしていたものと思われる。マミヤ・オーピーは,中判ディジタルカメラともいえる「マミヤZD」を発表した。実際に市場に投入するのに時間がかかり,その間に,35mm判一眼レフ型のディジタルカメラの高性能化が進んでしまったせいか,思うように売れ行きが伸びず,今日の発表に至ったようである。
 マミヤ・オーピーの光学機器事業は,IT企業である「株式会社コスモ・サイエンティフック・システム」が設立する子会社に引き継がれるという。この会社がソフトハウスからスタートしたことなどを考えると,勝手な想像であるが,ディジタルカメラ以外の製品は,新たな開発がされないような気がする。「マミヤZD」シリーズおよびそれとシステムを共用できる「マミヤ645」シリーズは,当面の柱として開発は続けられるだろう。もし,それがうまく軌道に乗った場合,さらに大きな画面サイズのディジタルカメラとして,「マミヤRZ67」シリーズをベースにしたものも登場するのかもしれない,などということも期待できるが,そのような製品は,価格的な面でも,きっと私の手には届かないものになっているだろう。

年明け以降,ニコン様の大判カメラシステム全品の製造終了,ニコン様の35mm判カメラのラインアップの大幅な縮小,ミノルタαシリーズシステムのソニーへの譲渡という,明るくないニュースが続いた。もっとも,ニコン様の大判カメラシステム全品の製造終了以外は,その関連製品すべての製造が終了した,という内容ではない。ニュースの大きさほどに,ユーザには大きな影響はないものと思われる。ましてや,35mm判カメラそのものがなくなるという話ではない。
 一方,もしも,マミヤのカメラが,ディジタルカメラ「マミヤZD」を除いて,すべて生産が終了するというのであるとすれば,これは大問題になりかねない。ゼンザブロニカが先にその歴史に幕を閉じてしまっているわけで,6×7判クラスのシステムカメラは「フジGX680」や「ペンタックス67」しか残らないという状況になってしまう。残るとしても,それらは「RB67」「RZ67」あるいはブロニカ「GS−1」などの代用として使うには,少し違和感が強いであろう。
 しかし,もはや「RB67」「RZ67」がなくなると困る,というユーザが激減しているのかもしれない。そうであれば,やむをえない「流れ」としてとらえるしかないだろう。
 ちなみに今回のマミヤ・オーピーの件について,個人的なことを言えば,ショックを感じたのは事実であるし,寂しさは隠しようがない。しかし,実害があるかといえば,それは「ない」のである。なぜなら,私が愛用している「マミヤ」ブランドのカメラは,20年以上前に,すでに製造・販売が終了しているシステムばかりだ。
 マミヤ・オーピーの光学機器事業の譲渡は,6月の株主総会で承認されれば,9月におこなわれることになるという。


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