撮影日記


2006年04月18日(火) 天気:晴

マミヤプレスでチューリップを接写する

この春も,自宅で植えたチューリップは咲いてくれた。今年は20本近く咲いたわけだが,すべてが一斉に咲いてくれたわけではなく,すでに花を落としたものもある。いろいろ撮っておこうとは思っていたものの,雨が降る日があったり,風の強い日があったりで,ほとんど撮ることができていない。
 今朝は,ようやく風が弱い日になった。

一般に,花を撮るとき,「中望遠マクロレンズ」とよばれるタイプのレンズを使うことが多いだろう。それらは被写体に30cmくらいまで接近し,「等倍撮影」ができるものが多い。「等倍」というのは,フィルムに被写体が実物大で写しこまれることを意味している。被写体の大きさが1cmであれば,フィルム上にも1cmで写しこまれている,ということだ。このような撮影は,いわゆるレンジファインダー式のカメラでは不可能な撮影領域であり,一眼レフカメラを使うのが適している。それは,撮影するレンズを通してフィルム面に写る像をファインダーで確認できるからにほかならない。
 しかし,ビューカメラであれば,もっと精密に撮影ができる。ビューカメラは,フィルムの位置にピントグラスを置いて,像を確認できるのである。ビューカメラを使っていれば,一眼レフカメラの「ファインダー視野率が○○%」などというスペック争いは,無意味なものに思えてくるだろう。
 そこで,今日は,Mamiya Universal Pressでチューリップを撮ってみることにする。まあ,上にはいろいろとゴタクを書き並べたが,本当のところを言えば,16日に使い切れなかったフィルムを使い切ってしまいたいだけである(笑)。

さて,自宅のチューリップを撮影する場合,背景がすっきりしないので,望遠マクロレンズを使いたい。しかし,マミヤプレス用に,望遠マクロレンズのラインアップはない。マミヤプレスは,ビューカメラとして使うこともできるが,本来はその名称が示すように「プレス」カメラ,報道用の速写カメラなのであり,ボディに内蔵された距離計連動ファインダーを使って構図を決め,ピントを合わせて撮影するようにつくられたカメラなのである。
 しかし,マミヤプレスのシステムとしての魅力は,単なるプレスカメラとしてではなく,バック部の交換などでさまざまな撮影に対応できるところが大きいのである。今日は,接写用のアクセサリとして用意されている,接写スペーサーを利用して撮影することにした。
 レンズは,250mm F5の望遠レンズを使用する。このレンズの最短撮影距離は2.5mであるが,接写スペーサーを利用することで,フィルム面から1mくらいのところでもピントが合うようになる。等倍撮影には程遠いが,ここまで近づくことができれば,ふつうの花であれば十分だろう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5, Spacer No.1+No.2, E100VS

一般的な花は,その大きさが1cmから数cmであることが多い。ライカ判(35mm判フルサイズ)で等倍撮影すれば,その画面いっぱいに花が写しこまれることになる。しかし,マミヤプレスの6×9判では,等倍撮影しても,写しこまれる領域は,およそ6cm×9cmの範囲となり,多くの人がもっている「等倍」のイメージとはかけ離れたものになるだろう。
 ところで,花をライカ判で等倍撮影してそれをプリントしたとき,全紙くらいに引き伸ばしたらどうだろうか?大きすぎて,美しさを感じるゆとりがなくなるのではないか,という気がする。その場合は四つ切りくらいでも十分に大きいと思う。伸ばすのが四つ切りくらいまでであれば,ライカ判でもさほど問題にはならないであろう。無理に,中判カメラで等倍撮影を試みることもないのだ,と思うことにしておきたい。
 ともあれ,接写スペーサーや中間リング等を併用して苦労すれば,6×9判でも望遠マクロ撮影は可能となる。しかし,自宅の花を撮るのであれば,Mamiya Universal Pressでそれらのアクセサリを駆使して無理して撮らずとも,TOYO-VIEWにマミヤプレス用のロールフィルムホルダをつけて撮る方が,絶対に楽なはずだということに,フィルムを使い切ってから気がついた。

自宅のチューリップの花が完全に終わってしまう前に,もう一度,6×9判での撮影を試みようかな・・・。


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