撮影日記


2006年04月01日(土) 天気:曇

STORZで撮る

「カール・ストルツ」の内視鏡用レンズ「593-T2」だが,ライトボックスの上においた定規だけを撮ったところで,なにもおもしろくはない(2006年3月30日の日記を参照)。さっそく,屋外で実際になにかを撮ってみよう。

このレンズは,最大撮影倍率がおよそ1:1.4の「望遠ズームマイクロレンズ」として使えそうである。となると,小さな花をとりあえず被写体にしてみるのがよい。この季節なら,ホトケノザが最適だろう。ホトケノザは,ちょっとした公園の隅や道ばたなどで,簡単に見つかる。やや逆光気味の花を見つけて,さっそくファインダーを覗いてみた。「593-T2」は,たいへん暗いレンズである。したがって,ファインダーの視野も,たいへん暗い。大口径レンズではないために,ファインダー上では,被写界深度はかなり深く見える。しかし,撮影倍率が高い状態であることもあり,屋外の明るい場所での被写体ならば,ピントあわせは十分に可能である。

OLYMPUS OM707, Karl Storz 593-T2 (140mm), JX100

たしかに,絞りこんだ状態の画像である。しかし,一般的なマイクロレンズのような,多角形の虹彩絞りがない状態のせいか,破綻しそうでなんとか耐えているように思える,独特のボケ方を感じられる。また,全体に硬調な写りのようだ。
 さて,このレンズは,焦点距離を連続的に変化させられる「ズームレンズ」でもある。上の作例は140mmの状態のものなので,このまま70mmの状態にしてみよう。

OLYMPUS OM707, Karl Storz 593-T2 (70mm), JX100

やはり,周囲が大きくケラレた,円形の視野となった。倍率が下がった分だけ,画像もすなおでシャープになったように思える。ところで,画像をよく見てみると,70mmの状態にしても,倍率が下がるだけであって,写る範囲はあまり変わっていないのである。
 やはりこのレンズの場合は,内視鏡のような限られた視野の中で,被写体の撮影倍率を変更するための「ズームレンズ」的な機能であり,一般的な「ズームレンズ」として使うことはできないようだ。ただ,円形にケラレる画像は,いわゆる円周魚眼レンズによる視野のような印象も受けるので,被写体やその撮り方によってはなにかおもしろい効果として利用できるかもしれない。


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