撮影日記


2006年03月30日(木) 天気:晴ときどき雨

STORZとは?

しばらく前のことであるが,「大洲カメラ」で妙なレンズをみつけた。
 お店での説明では,「ドイツ製の医療用レンズらしい」ということと,「オリンパスOMマウントのレンズだ」ということしかわからなかった。オリンパスOMマウントのカメラというと,「OM−707」しかもっていないが,たいした価格ではなかったので,買ってみることにした。

まず,このレンズを眺めてみよう。一般的に,カメラ用交換レンズには,メーカー名,焦点距離,絞りなどの数値などが記載されている。このレンズには,70mmから140mmまで,10mm刻みで目盛がつけられたリングがあるので,70mm〜140mmの望遠ズームレンズのようだ。また,レンズ先端は回転するようになっており,そこには無限遠のマークと赤外フィルム使用時の補正用と思われる赤い小さな指標が記されている。したがって,ベローズ用レンズやマクロ撮影専用レンズではなく,無限遠までピントが合うようになっているものと思われる。
 絞りはないようだ。また,レンズのF値を示す数字などもみあたらない。
 それ以外には,「STORZ Germany 593-T2」という文字が刻まれているだけである。これは,「ストルツ」というメーカーの「593-T2」というモデルを意味するのだろう。

このレンズはおそらく,内視鏡関係のメーカーである,「カール・ストルツ」社の製品と思われる。内視鏡に接続して写真を撮るためのレンズであろう。ちなみに「カール・ツァイス」の「カール」は「Carl」だが,「カール・ストルツ」の「カール」は「Karl」らしい。ま,これはどうでもいいことこか。

さて,このような内視鏡用のレンズで,一般的な撮影ができるのだろうか?それは,実際に撮ってみれば,わかることである。一般の写真用レンズと同じような絵が得られるのであれば,コンパクトな望遠ズームレンズとして使えるだろう。もし,一般の写真用レンズとは大きく異なった絵が得られるのであれば,それはそれでおもしろい。
 このレンズを,OM−707に装着して,ファインダーを覗いてみた。暗い,きわめて暗い。外観からわかるとおりの,小口径レンズなのである。スプリットイメージやマイクロプリズムがファインダースクリーンの中央にあると,視野が非常に見にくくなるかと思われる。しかし,AF一眼レフであるOM−707のファインダースクリーンには,そういうものはないので,視野はすっきりしている。
 視野は暗いものの,ピントあわせは十分におこなえる。そして,このレンズは被写体にかなり接近できることに気がついた。ピントリングを最短撮影距離においたとき,フィルム面からの距離はおよそ35cmとなる(レンズ先端からはおよそ23cm)。このとき,焦点距離を140mmにしておくと,撮影倍率はおよそ1:1.4となっている。つまり,このレンズは,「望遠ズームマイクロレンズ」として利用できそうだ。
 しかし,焦点距離を70mmにすると,周囲が大きくケラレて,視野が円形になる。これは,仕様なのだろう。

そういう性質を利用して,おもしろい絵が得られれば,このOM−707の使い道ももっと広がることだろう。そして,ほかのOMシリーズのボディも欲しくなるかもしれない。

左は140mm時,右は70mm時の視野。

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