撮影日記


2006年03月11日(土) 天気:曇

サボワ・ロワイエというカメラ

今日は大阪で会議があり,早朝からでかけた。会議は夕方いっぱいかかる予定だったが,参加者が力尽きたこともあり(笑),予定より少し早く終わったので,梅田に立ち寄ることにした。
 梅田では,いつものように,ヨドバシカメラでフィルム等を補給し,マルシンカメラを覗いた。マルシンカメラは,いつものようにジャンクカメラが充実している。スプリングカメラのジャンクも多数あったのだが,リンク機構が破損しているなどあまりにダメージが大きく(だからこそのジャンク品で,非常に安価だったのだが),さすがに手におえなさそうなので,見送った。945円の「オリンパス・トリップ35」が少し気になったが,つい一昨日にTessar T* 45mm F2.8を購入したばかりなので,今日は自粛しておこう。

そのあと,友人2名と夕食をとった。この席で,1台のカメラをいただいた。そのカメラは,付属品や部品等がほしくて買ったものなので,本体は必要ないのでくださるという。この場にて,あらためて深く御礼申しあげたい。
 いただいたカメラは,「サボワ・ロワイエII」である。

SAVOY ROYER II(サボワ・ロワイエII), BERTHIOT(ベルチオ) 50mm F2.8付き

このカメラは,1957年フランス製のレンズシャッター式35mm判カメラである。露出計も内蔵されておらず,距離計もないモデルであるが,撮影レンズのま上にビューファインダーがあるのは,使いやすそうだ。
 このカメラの特異な点としては,まず,シャッターレリーズボタンの位置があげられる。かまえたときの右手側,巻き上げレバーの近くにシャッターレリーズボタンがあるのが一般的だろうが,このカメラは,レンズ鏡胴部にある。まあ,ここまでは,古いレンズシャッター式カメラではよく見られることである。問題は,それが左手側にあることだ。SAVOY ROYER IIを発売したSITO製のカメラとしては,一眼レフのSAVOYFLEX(サボワフレックス)も知られているが,それもシャッターレリーズボタンは左手側にある。メーカーあるいは開発者として,なんらかの「こだわり」がある部分なのだろうか?
 なお,巻き上げは,右手側のレバー式で,ごく一般的なスタイルである。
 ちなみに,シャッターレリーズボタンが左手側にあるカメラとしては,IHAGEE(イハゲー)製のEXAKTA(エキザクタ)やEXA(エクサ)が有名であろう。

SAVOY ROYER IIというカメラは,フィルムの装填方法にも特徴がある。今回いただいたSAVOY ROYER IIは,蝶番が使われている裏蓋があり,一般的な方法でフィルムの装填ができる。しかし,SAVOY ROYER Iには,蝶番が使われている裏蓋がないという。

「SAVOY ROYER Iでは,どうやってフィルムを装填するかわかりますか?」

このカメラをいただいたときに,そういう問題を出題された。
 まず,考えられることとしては,バルナック・ライカなどと同様に,底からフィルムを入れる方法がある。しかし,わざわざ「問題」にされるのであるから,そんな単純なものではないだろう。20世紀はじめころのコダックのフォールディングカメラに,フィルムを前から装填するしくみのものがあったことを思い出し,私はこう答えた。

「前から,レンズのところをカパッとはずして,ですか?」

正解である。

SAVOY ROYER IIには,ちゃんと裏蓋があるので,こういうしくみはなくてもいいはずなのだが,SAVOY ROYER Iと同様に前が開いてフィルムを装填することが可能なのである。また,SAVOY ROYER IIの三脚のネジ穴は,鏡胴の下部にある。つまり,三脚に固定した状態で,フィルムバックだけを外すような使い方ができる,というわけである。ただ,遮光に関する機構はないために,フィルムを途中で交換するようなことはできないようだ。


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