撮影日記


2006年02月26日(日) 天気:雨のち曇ときどき晴

なんとなくサニークロス

写真を撮るときの「小手先の技」としてよく利用されるものに,「フィルタ」というものがある。撮影レンズの前におくと,撮影される像に,なんらかの影響が与えられるようなものである。
 よく使われるフィルタとしては,「プロテクト」というフィルタがある。これは無色透明で,レンズ表面の保護を主目的とするものであるが,現在のレンズは丈夫なので,「プロテクト」フィルタは必要ないとする意見も多い。むしろ,不要な反射面が1つ増えるというデメリットの方が大きいという意見もある。
 「プロテクト」フィルタの意味も兼ねて使われるフィルタには,不要な紫外線を除去する目的で使われる,「UV」や「スカイライト」フィルタというものがある。

フィルタには,特殊な効果を積極的に与えたいという目的で使われるものがある。このタイプのフィルタは,効果が目に見えてわかりやすいので,初心者でもよく使うようだ。たとえば,「PL」フィルタがその代表といえるだろう。
 「PL」フィルタには,不要な反射を低減する効果がある。たとえば,水面やガラス面の反射を低減させて,その向こう側にあるものを撮影するときに使われる。また,不要な反射を取り除くことで,遠景のコントラストを高めたりする効果もある。葉の表面の反射を低減すれば,その色をはっきりと見せる効果を得ることもできる。ただし,効果を効かせすぎると,べっとりとした平面的な写真になってしまうので,そういう効果を意図しないなら,ほどほどに使うべきだろう。
 「PL」フィルタに限らず,効果のわかりやすいフィルタを使うと,その効果の与える印象が強くなり,できあがる写真の個性が失われやすいと感じている。ただ,ときどき「使ってみたくなる」気分は,理解していただきたい(笑)。

効果のわかりやすいフィルタとしては,「クロス」フィルタなどもあげられるだろう。このフィルタを使うと,光源を中心に,光の筋を発する効果が得られる。その筋の数や,筋と筋の角度を変化させられるかどうかなど,いくつかのバリエーションがある。これも,ほどほどの効果が得られるように使わなければ,光の筋がうるさいだけの写真になってしまう。効果がわかりやすい反面,使いこなしは難しいフィルタだといえるだろう。
 ほかには,像をいくつもずらして並べたような効果が得られる「ミラージュ」(並べる数によっていくつかのバリエーションがある),被写体を太く(あるいは細く)見せる「マジックポートレイト」など,効果がおもしろいフィルタは,さまざまなものが市販されているが,それらの効果を生かした絵をつくるのは,容易ではない。

今日は,朝から雨だったが,お昼ころには雨がやみ,時おり,太陽の光も射すようになった。そこで,カメラをもって,出かけることにした。なんとなく,可部線の電車に乗り,可部駅へ向かう。そして,なんとなく歩いていく。カメラバッグには,なんとなく放り込んでおいた,いくつかのフィルタが入っている。そこにはなぜか「サニークロス」フィルタが入っていた。「サニークロス」は,光の筋の数が8本のタイプの「クロス」フィルタである。

Nikon F-301, Ai NIKKOR 135mm F2.8S, SunnyCross filter, EB

この種のフィルタは,ジャンク品セールなどで安く売られているのをなんとなく買ってみたり,あるいは,誰かからいただいたりしたものが多く,「いつの間に入手したんだろう?」と思うことも,少なくないのである。この「サニークロス」フィルタも,いつ,どうやって入手したのか,記憶にない。
 ときどき立ち止まって写真を撮り,線路沿いの道を選びつつ,なんとなく歩き続けた。フィルムがちょうど終わったころ,太陽は山かげに近づきつつあり,そろそろ帰ろうと思った。そのとき,ちょうど,古市橋駅まで戻ってきていた。
 午前中から行動すれば,可部から横川まで歩くことも,十分に可能だろう。いや,今日だって,写真を撮ったりしなければ十分に,可部から横川まで歩くことができたかもしれない。


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