撮影日記


2006年02月24日(金) 天気:晴ときどき曇

中古カメラは環境にやさしい(2)

いわゆる環境問題を語るときに使われる,「3つのR」ということばがあるが,さらにもう1つ「R」を加えて「4つのR」として語られることがある。ただ,4つ目の「R」については,使う人によって違いが見られることがある。使う人の主張によるものか,あるいは,正しい理解がされていないのか,そのあたりは不明だが,その点についてはまだ統一されたものが確立していないのが現状であろう。
 2005年3月に,国連「女性の地位委員会」の会議で,日本語の「もったいない」を環境問題のキーワードとして紹介した,ケニアのワンガリ・マータイ氏は,4つ目の「R」として「Repair(リペア=修理して使う)」をあてている。その後,「もったいない(MOTTAINAI)」は,世界中で使われる日本語の単語の1つになったことは,よく知られていることだろう。これは,単なる名詞ではなく,1つの思想を示す単語であることに,大いなる意味があると思う。
 ともあれ,この1年間,「もったいない」は日本国内でも1つの流行語にもなったようで,「もったいないばあさん」なるおもしろい絵本が発行されたりもした。ま,これはあんまり関係ないか(笑)。

さて,フィルムの代替として期待されるディジタルカメラは,画像を得るために「現像」という化学処理の工程を必要とせず,フィルムや処理液を「使い捨て」することもない。つまり,フィルムよりも,環境にやさしいものということになるだろうか?
 現在のディジタルカメラは性能の向上が激しく,旧製品の陳腐化が著しい。すると中古商品としての価値も高くならないだろうから,まだまだ正常に動作する製品であっても,容易に棄てられてしまうことになる。
 いま,電気製品の安全性を優先するという美名のもとに,「電気用品安全法」というものが施行されている。これは,安全性を補償できなくなった電気製品の製造だけでなく流通をも規制するものである。現在は,ディジタルカメラはその法律で規制される対象になっていないが,このような法律が日本国内でつくられていることは,「MOTTAINAI」という世界的な風潮に逆行するものである。
 たちまち,この法律は,中古家電製品を売買しているリサイクルショップ(原料として再利用しているわけではないのに,このような名称はおかしいんじゃないか?と今ごろ気になってきた)に少なくない影響を与えているようである。また,昔の「名機」と呼ばれるオーディオ機器や電子楽器などの流通ができなくなることにその愛好家などが不満を持っているようで,電子楽器の音楽家を中心に法律の運用に柔軟性をもたせることを要求しようとする動きがあるようだ。「電気用品安全法」に関してのマスコミの報道は,その点を中心に扱うことが多いようで,この問題は「一部の音楽マニアだけの問題」と思われがちなようだが,実際にはどこまで影響が広がるか,想像もつかないものである。この点は,多くの人が,さまざまな立場で,それぞれ不安に感じることになる原因となっているだろう。
 今後,この法律がどう運用されるかは,注目しておく価値がある。

ところで,最近のこと,ある経済産業省の官僚が「個人的に」blogを開設し,この「電気用品安全法」に関わる問題にふれたところ,多くの「抗議」のコメントが寄せられて,ごく短期間でそのblogを閉鎖してしまったという事例があった。一部に,その官僚の退任要求をしようという声もあるようだが,この官僚は,一種の「スケープゴート」になっただけのような気がする。そう感じるのは,私だけじゃないと思うのだが,どうだろう?いや,考えすぎか?(笑)
 ともあれ,今回の一連の問題への不満を,1人の官僚だけに集中させることは,問題解決にとってなんの前進も得られないだろう。


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