撮影日記


2006年02月19日(日) 天気:曇

古書籍の道も,中古カメラの道と同じ。

「富士写真フイルム」の「フイルム」の表記をきっかけに,久しぶりに,「アサヒカメラ」(1938年6月号)をじっくりと読みこんでしまった。すると,さらに多くの,古いカメラ雑誌を読みたくなるというものである。そこで,古書店に行ってみることにした。
 ところで,「中古」とは,どういう意味があるんだろう?広辞苑を見てみると,「やや古くなったもの。」という説明があり,用例として「中古車」などが示されている。しかし,実際による使われる「中古品」という場合の「中古」には,単純に「やや古くなったもの。」という意味があるとは思えない。この場合の「中古」には,「一度,誰かが所有したことがあるもの。」という意味合いが含まれているとしか思えない。「一度,誰かが所有したことがあるもの。」であれば,昨日はじめて買われたようなものであっても売られるときには「中古品」となるし,発売から50年が経過したものでも「中古品」となる。
 ここでなにが言いたいのかというと,「自動車」であれ,「カメラ」であれ,「一度,誰かが所有したことがあるもの。」は「中古品」として流通し,それを扱う店は「中古車屋さん」「中古カメラ屋さん」である。しかし,商品が「本」の場合は,なぜか「中」がつかずに,「古書店」「古本屋さん」と呼ばれる。謎だ。

さて,とりあえず古書店を覗きたくなったとき,まず向かう店は,金座街の「アカデミイ書店」である。しかし,そこで,古いカメラ雑誌を見かけたことはない。アカデミイ書店は,もう1件,紙屋町店があり,そちらはコミックや雑誌をおもに扱っているというので,今日はまず, アカデミイ書店の紙屋町店を覗いてみることにした。
 この店は,見た目以上に「奥が深い」店である。入り口は狭いのだが,奥はけっこう広いのである。たしかにコミックや雑誌類は多くあるが,いわゆるカメラ雑誌を見つけ出すことはできなかった。
 そのかわり,ずっと以前から探していた本を見つけた。
 ずっと探していた本とは,集英社の「学習漫画 日本の歴史」(監修 和歌森太郎)という全18巻のシリーズである。むかし,何度も読んだシリーズなのだが,子ども向け書籍の宿命として,ある日,なにげなく,子どもがいる知り合いのところへ譲ってしまったものである。これを今,あらためて読み返したく思い,古書店に寄るたびに気をつけて見ていたのだが,なかなか見かけることがなかった。それとようやく出会うことができたのである。
 ただ,今日,見つけたものは,その第1巻だけである。どうせなら全巻セットで揃えたいので,今日は買わないことにした。ちなみに,最終巻である第18巻の最後に取り上げられる「出来事」は,「東京オリンピック」である。じつは,それくらい古い本なのである。

ついでに,金座街のアカデミイ書店も覗くことにした。やはりこちらでも,カメラ雑誌を見かけることはできず,結局,店頭の「105円コーナー」の本を数冊,買っただけであった。
 ところで,「中古カメラ道・心得の条」というものがある。

一、中古カメラは一期一会。

一、自分が欲しい物は、他人も欲しい。

一、買っても後悔、買わずとも後悔。同じ後悔するなら、買って後悔しよう。

まあ,半分は冗談として理解されるとよいだろう(つまり,半分は本気なのか?)。
 さてこれを,「中古カメラ」として唱えてみたわけだが,これらのことは,「中古品」すべてに該当するということも,ご理解いただけると思う。「本」は「中古品」とは呼ばれず「古本」と呼ばれるが,やはり同じようにあてはまるのである。
 以前,アカデミイ書店(金座街店)で,こういう書籍をみつけた。

「安芸三段峡三十三景 熊南峰写真集」 大島写真館(大正11年)

三段峡を広く世に知らしめた功労者とされる,熊南峰氏が撮った,三段峡の写真集である。扉が失われていると記載があり,7500円の価格がつけられていた。これはぜひ,手元にもっておきたいと思ったのだが,衝動的にポンと出せる金額ではなかった。そして,しばらく後に店を訪れたときには,すでに売れてしまったのか,その姿は消えていた。

同じ後悔するなら,買って後悔すればよかったかもしれない orz

今,アカデミイ書店(金座街店)には,「源流」という本がある。これは,三段峡に関する資料や逸話などをまとめた本であり,巻末に上記の「安芸三段峡三十三景」の写真が掲載されている。この本を「買って後悔」しようかと思っているのだが,この本は「発禁本」となったせいか当時の価格よりも高値がつけられており,また,近所の図書館でいつでも閲覧できるので,なかなか「その気」にならないでいるのだった。


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