撮影日記


2006年02月21日(火) 天気:晴

中古カメラは環境にやさしい

いわゆる環境問題を語るときに使われる,「3つのR」ということばがある。

  • Recycle 再利用:使われなくなった製品をゴミとして処分せずに,原料として再利用する。
  • Reuse  再使用:使われなくなった製品をゴミとして処分せずに,製品として再使用する。
  • Reduce  減 量:ゴミを減らすように消費やサービスを選ぶ。または,消費を減量する。

リサイクル(Recycle)の代表的なものとしては,「紙」があげられるだろう。木から紙がつくられるが,使われなくなった紙は回収され,溶かされて,ふたたび紙の原料として使われるようになっている。

リユース(Reuse)の代表的なものとしては,「ビールびん」があげられるだろう。びんは酒販店を通じて回収され,洗浄されてふたたび製品を供給するために使われる。このとき,破損などがあって,そのままでは使えないものは,びんの原料としてリサイクルされる。このように,回収されて繰り返し使用されるタイプのびんは「リターナブルびん」とよばれている。びんビールは,家庭よりも飲食店での提供が多いこともあってか,「リターナブルびん」のなかでも特に回収率が高い(ほぼ100%),非常によい状態といえる。

リデュース(Reduce)すなわちゴミを減らす取り組みの例としては,スーパーマーケットなどでの「レジ袋有料化」や「買い物袋持参運動」などがあげられるだろう。

さて,使われなくなったカメラは,どのように扱われているだろうか。
 カメラを構成する材料の1つに,ガラスがある。カメラで使われるガラスには,その性能を高めるために,鉛が含まれているものが多い。鉛を含む物質を廃棄することは,環境保護の面で問題があるとされており,不用意に廃棄すべきものではない。
 ところで,カメラというものは,かつてより高価なものとして流通してきた。もとが高価なため,中古品としての流通も盛んである。中古品としても価値があるということは,「簡単には捨てられない」要因の1つになる。

中古品の流通の多いものとしては,カメラのほかに自動車もあげられる。しかし自動車の場合は,古くなって不調になることは人の生命を脅かす危険性もあり,また,所有しているだけでもさまざまな維持費が必要となるため,多くのものが10年から20年も使われれば,捨てられてしまう運命にある(最近,リサイクルが強くいわれるようになった理由となるだろう)。ところがカメラは,使わなくなったものをずっと持っていても,あまり邪魔にはならない。そのため,捨てられる量は非常に少ないということになる。カメラは,リサイクルするまでもなく,リユースされる製品であったということだ。「中古カメラ」という市場は,リユースとリデュースの2つの側面に大きく貢献している。
 カメラは「リサイクル」とはあまり縁がないように思われるかもしれない。しかし,「レンズ付きフィルム」は,部品の多くがリユースされ,それ以外の部品はリサイクル原料として利用される。カメラは,環境にやさしい製品なのである。

しかしそれは,カメラの機能「写真を撮る」という側面を支えるフィルム等の「感光材」が,つねに新品であることによって支えられている。フィルムは1回限りの使用であり,そういう意味では「使い捨て」である。また,フィルムの処理は化学変化を利用しており,資源の消費,廃液の処理など,環境への負荷が大きいと考えることもできる。
 ディジタルカメラがいかに進化しようとも,ディジタルカメラによる撮影がいかに効率的で低コストになろうとも,フィルムの独特の表現力と「画像が物体に固定されて残る」という安心感は,末永く人びとにフィルムの魅力を伝え続ける。したがって,単純な算数でもわかるようなコスト面などを理由として,フィルムが消滅することは考えられない。しかし,環境への負荷を理由として,フィルムを使うことができなくなるようになる日が来る可能性は,0ではないだろう。

いま,「WEEE」および「RoHS」指令というものが,話題になっている。これは,廃棄される電気製品に含まれる有害物質を問題視したもので,そのような物質が含まれる製品の製造や流通を規制しようというものである。有害物質の例として,たとえば,ハンダに含まれる鉛などが指摘されている。
 これらの指令では,カメラ用の光学ガラスに含まれる鉛を直接に規制してはいないように見える。しかし,この指令の内容は随時見直されてきているようで,今後も内容の見直しは続けられるだろう。また,別の形で,なんらかの規制が検討されるようになることも,十分にありえるだろう。


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