撮影日記


2006年01月02日(月) 天気:曇

「シネマ」と「キネマ」の違いは?

この「撮影日記」を読んでくださっている方は,間違いなく,「カメラが好き」「写真が好き」な方であろうと思う。だから,「カメラマン」という言葉は,なんの抵抗もなく,受け入れられるのではないだろうか。
 ところが,ムービーを撮っている人たちは,「カメラマン」という言葉は,あまり使わないらしい。彼らは,どちらかというと「キャメラマン」という言葉を使うという。スチルの世界では「カメラ」が一般的のようだが,ムービーの世界では「キャメラ」というのが一般的ということだそうだ。もっとも,わざわざ「スチル」という言葉を使うのは,ムービーの世界の人だけだろうとは思う。ディジタルカメラから使い始めた人が,わざわざ「銀塩カメラ」という言葉を使うようなものだろう。

ところで,横川には「横川シネマ」という映画館がある。数年前までは,いわゆるポルノ映画を上映していたようだが,最近は趣味性の強い映画を積極的に扱う,個性的な映画館に生まれ変わっている。
 映画館には,「横川シネマ」のように,「○○シネマ」という名称のものが目だつ。「シネマ(cinema)」という言葉は,なにを意味しているのだろうか?広辞苑(第四版電子ブック版,岩波書店)では,「映画」のことである,と示されている。また,「シネマトグラフ」の略であり,フランス語であるとも示されている。
 ところで,映画館の名称としては,「○○シネマ」だけでなく,「○○キネマ」というものもある。たとえば,実家の近所に「田辺キネマ」という映画館がある(ここは,大阪市内南部唯一の映画館となってしまったらしい)。そこで気になるのが,「シネマ」と「キネマ」の違いである。そこで,「キネマ(kinema)」についても,広辞苑で調べてみた。すると「活動写真,映画,シネマ」という意味が示されている。ただ,これが何語なのかは,示されていなかった。
 この点について,自主制作映画を作っている,職場の先輩に尋ねてみた。その人の説明によると,これらの言葉は,とくに意味をもって使い分けられていることはないようだ。ただ,「キネマ」は大正時代から使われているらしいが,「シネマ」は昭和になってから使われるようになったらしい,という。広辞苑での説明で,「シネマ」の意味は「映画」であるのに対し,「キネマ」の意味は「活動写真,映画」となっているのは,そのあたりのニュアンスが含まれているのかもしれない。

今夜は,「田辺キネマ」で映画を観てみることにした。ここに入るのは,何年ぶりだろうか。今日の上映は,「オペラ座の怪人」と「Shall we Dance?」の2本立てである。2本とも見ても,1200円である。客席は100席ほどで,小ぢんまりとしている。最後列あるいはその1つ前くらいが,もっとも見やすい感じだ。このとき入場していたお客さんは5名ほどで,しかもほとんどの人が寝ている。「田辺キネマ」は,いわゆるオールナイト上映をしており,宿泊するつもりで入場する人もあるというが,寝ている人の何人かは,そういうつもりのお客さんなのかもしれない。2本とも観るつもりで入場したのだが,さすがに眠くなってきたので,「オペラ座の怪人」だけを観て,帰宅することにした。ここは映画を楽しむには,ちょうどよい空間かもしれない。

ちなみに,ここには「田辺キネマ」と「田辺国際劇場」という2つの映画館が入っている。「田辺国際劇場」の方は,1100円で3本立てとのことである。興味のある方は,こちらの方もどうだろうか。ただし,ある年齢以下の子どもは,通常は「田辺国際劇場」には入場することができない(笑)。


← 前のページ もくじ 次のページ →