2005年04月11日(月) 天気:曇
曇の日のサクラはステレオで撮りたい
サクラの開花は,例年になく遅くなった。ようやく満開といえる状態であるが,あいにくの中途半端な天気である。からっと晴れてくれたなら,青空との対比で,サクラの木(あるいは並木)全体の形状を撮るのがよいだろうし,雨であれば,近づいて,ぬれたサクラをしっとりと撮るのもよいだろう。しかし,どちらでもない曇なのである。明るさはそれなりにあっても空は白いだけで,空を入れて撮ったなら,サクラの花は白い空に同化してしまうだろう。
天気が中途半端なら,サクラとの距離も中途半端にとるしかない。また,ここしばらく仕事が多忙で,じっくりとサクラと向き合う時間も確保できない。というわけで,サクラの枝の広がりを,ステレオ写真にしてみることにした。
サクラの木は,けっこうあちらこちらにある。遠くの名所に行かなくても,すぐ近所にそれなりのサクラはあるものなのだ。
今回,選んだサクラは,楠木の大雁木とよばれるところにあるサクラである。雁木とは,かつての舟運の船着場,荷揚場を指す。ここには幅の広い石段があり,そこにサクラがちょうど覆い被さるように咲いている。
背景に石段を配置することで,ステレオ効果がより顕著になると考えたのである。
ここで撮っていると,ちょうど川船がゆっくりくだっていった。石段よりも,こちらを中央に配置した方がいいかもしれない。
今回使ったカメラは,1950年代の「コダックステレオカメラ」である。3枚玉レンズを搭載しており,決して高性能なカメラではない。しかし,ステレオ写真は,大きくプリントして楽しむような性格のものではないので,これで十分なのかもしれない。
この種のステレオカメラは,ふつうのパトローネ入り35mmフィルムを使うので,フィルムの入手や現像は,まったく問題なくできる。しかし,画面のサイズがハーフサイズよりも正方形に近く,ラボでのプリントなどはしてもらえない。また,ステレオ用のマウントがすでに製造されなくなっているため,ポジフィルムを使うのには適さない。
そこで,「ネットプリント」の出番である(笑)。フィルムはネガ現像のみを依頼し,現像されたネガフィルムをスキャナで読み取り,左右のコマを並べて修正し,「ネットプリント」でL判あたりに出力してもらうのである。現在では,ステレオカメラで撮った写真は,こうやって鑑賞するのがもっとも扱いやすいだろう。
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