撮影日記


2008年04月26日(土) 天気:晴

原因は,レンズか?
それともボディか?

「カメラのキタムラ」の「ネット中古」(*1)サービスは便利である。全国のグループ店が中古カメラの在庫を登録しており,それを検索できるようになっている。そこに掲載された商品を「予約」すれば,近所あるいはよく利用するお店にその商品を転送してもらえる。そこで実物を見て,購入するかキャンセルするか,どうするかを決めればよい。

さて,先月,ジャンク品として入手したZENZA BRONICA ETRSおよびZENZANON E 75mm F2.8だが(2008年3月25日の日記を参照),いろいろと試してみた結果,1/500〜1/125秒以外のシャッター速度は,ほとんど信用ならない状況であることがわかった。その原因が,レンズに内蔵された電子制御シャッターにあるのか,ボディ側にあるシャッター速度を決める回路にあるのか,どちらにあるのかということが問題である。
 それをたしかめるために,2つの商品をキタムラ「ネット中古」で取り寄せた。1つは「AEプリズムファインダー」,もう1つは「ZENZANON E 150mm F3.5」である。

ZENZA BRONICA ETRSにAEプリズムファインダーを取りつけると,ETRSをTTL露出計内蔵カメラとして使えるようになるとともに,絞り優先AE撮影も可能になる。AEプリズムファインダーのメインスイッチは,「A」「OFF」「M」の3段階になっている。「M」にするとマニュアル撮影モードとなり,「A」にすると絞り優先AE撮影モードになる。
 マニュアル撮影モードのときは,ボディのシャッター速度ダイアルでシャッター速度を決める。これは,1/500秒から8秒までの13段階で,中間のシャッター速度は使えない。ボディの中を見ると,シャッター速度ダイアルの回転に伴って接点を切り替えるようになっていることからも,中間のシャッター速度が設定できないことが理解できるだろう。
 一方,「A」に切り替えて絞り優先AEモードにした場合は,ボディにあるシャッター速度ダイアルは関係しない。AEプリズムファインダー内の回路によって,無段階にシャッター速度が制御されるとのことである。AEプリズムファインダーで絞り優先AEモードにしたときは,ボディ側のシャッター速度を決める回路は関与していなさそうである。
 すなわち。
 ボディ側にあるシャッター速度を決める回路に異常があるとしても,AEプリズムファインダーを使えばシャッター速度は正常に制御される可能性がある,ということだ。もし,AEプリズムファインダーを使ったときに,シャッターが正常に動作すれば,「ボディが故障していた」ということになる。

ZENZA BRONICA ETRSは,セミ判一眼レフカメラとしては貴重な,レンズシャッター式のカメラである。セミ判一眼レフカメラとしては,ほかにPENTAX 645やMamiya 645などのシステムがよく使われているが,これらはフォーカルプレンシャッターのカメラである。
 レンズシャッター式のカメラには,シャッターレリーズ時のショックが小さいというメリットがある。しかし,ミラーアップのないZENZA BRONICA ETRSにとっては,ミラー駆動時のショックが大きくて,あまりメリットはないものと思われる。そのほかのメリットとしては,1/500秒という高速シャッターでもフラッシュに同調するというものがある。
 一方,レンズシャッター式カメラのデメリットとしては,シャッター個々の微妙な調整による露出等のばらつきが生じる可能性が指摘される。しかし,ZENZA BRONICA ETRSは電子シャッターを採用することで,そのばらつきが少なくなるように考えられている。
 ともあれ,シャッターの動作があやしい場合,そのレンズに内蔵されているシャッターにトラブルが生じている可能性が考えられる。ほかのレンズではシャッターが正常に動作するならば,「レンズが故障していた」ということになる。

さて,取り寄せた「AEプリズムファインダー」と「ZENZANON E 150mm F3.5」を取りつけた結果は,どうなっただろうか?

AEプリズムファインダーとZENZANON E 150mm F3.5を取りつけると,なかなかにカッコイイじゃないか!

まずは,ウエストレベルファインダーをAEプリズムファインダーに交換した。メインスイッチを「M」にして,マニュアル撮影モードで露出計をチェックする。おおむね,正常な値を示していることを確認した。メインスイッチを「A」にして,絞り優先AE撮影モードにしても,露出計は同様の値をしめしている。シャッターをチャージして,レリーズだ!

ぱこん   ぱこん ぱこん

残念ながら,シャッターは正常に動作していないようである。このレンズは,シャッターに問題を抱えている可能性が極めて高い。

つぎに,取り寄せたZENZANON E 150mm F3.5に交換して,レリーズをする。

ぱこん   ぱこん ぱこん

こんどは,シャッターが正常に動作しているようだ。ジャンク品として入手したZENZANON E 75mm F2.8は,「シャッターが故障していた」ことが確定した。
 さて,ファインダーをもとのウエストレベルファインダーにもどし,ふたたびシャッター速度を変えながらレリーズをする。

ぱこん   ぱこん ぱこん

シャッターは正常に動作している。ジャンク品として入手したボディだが,こちらは故障していなかったようである。

AEプリズムファインダーとZENZANON E 150mm F3.5を取りつけた姿は,やっぱりカッコイイ!

ところで,このAEプリズムファインダーは,初期型のようである。ZENZA BRONICA ETRSは,AEプリズムファインダーIIと組み合わせたとき,シャッターレリーズボタンの半押しで,露出計が表示される。しかし,ZENZA BRONICA ETR用のAEプリズムファインダーを使う場合は,ファインダー前面のボタンを押したときにだけ,露出計が表示される。しかも,そのボタンから指を離すと,すぐに表示は消えてしまう。さすがにこれでは使いにくいので,このAEプリズムファインダーはキャンセルすることにした。
 さてこんどは,格安な「正常に動作する75mmレンズ」とのよい出会いがある日を,気長に待つとしよう。

*1 http://www.net-chuko.com/


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