撮影日記


2008年05月02日(金) 天気:晴

かじられちゃって
超いい感じぃ

「日本大判写真展2008」(*1)が,広島でも2008年5月6日から11日まで,広島県立美術館県民ギャラリーにおいて開催される。例年,案内をいただいているのだが,連休明けはいつも妙に忙しかったりして,行く機会を逸し続けている。大判写真とは,一般に4×5判以上の大きなフィルムを使って撮影された写真を指し,大きなフィルムに記録された緻密な画像は,大きなプリントにしたときにその魅力がさらに発揮されるものである。

ディジタルカメラは,新しいモデルが発売されるたびに,それで得られる画像の画素数が増えている。何度も新製品に買い換えさせることを目的に,技術を出し惜しみしているように思えるくらいである(笑)。画素数の多い画像はきれいに見えるのだから,画素数が増えていくこと自体は,大いに歓迎できることではある。

ところで。
 従来のテレビ放送は,NTSCという方式で画像が表現されている。NTSCでは,左から右へ1本の線が描かれ,それが上から下へ並べられることで,1つの画像が描かれるようになっている。この線を走査線とよんでおり,NTSCでは垂直方向(画面の天地方向)に525本の走査線が並んでいる。一方,1本の走査線が左右方向にいくつの点から構成されているのかを明確に言うことはできないようだが,国際電気通信連合の規格ではNTSC方式のディジタル画像として720ピクセル×486ピクセルを規定しているようである。NTSCの画像を,画素数で表現すれば,これくらいの数になるということであろうか。
 現在,地上波ディジタルテレビ放送でおこなわれているハイビジョン放送は,垂直方向の走査線が1125本で構成されている。これは,画素数としては1920ピクセル×1080ピクセルに相当するもので,NTSCの画像にくらべると大幅に画素数が増えた。それだけ,細かい部分までよく見えるようになっている。
 さらに,2002年に発表されたスーパーハイビジョンでは,1つの画像を構成する画素数はさらに増えて,7680ピクセル×4320ピクセルになっている。これだけの画素数があれば,大きな画面であっても,細かいところまで識別が可能になるだろう。発表後,博覧会等で一般公開されたり,博物館等の展示に利用されたりするようになったので,すでに目にされた人もかなり多いはずである。

明日5月3日から5月5日まで,NHK広島放送局では「フラワーフェスティバル」にあわせて「2008ひろしまフラワーフェスティバル『NHKシクラメンステージ』」というイベントを開催するとのことである。そこにおいて,「スーパーハイビジョン」の上映会が催される。当日はその観覧に整理券が必要になるそうだが,試写会を見る機会が得られたのでNHK広島放送局2階のテレビホールへ行ってみた。

スーパーハイビジョンの映像を見るのは,はじめてである。映像は10m×5mのスクリーンに投影される。最初は,NHK広島放送局から広島市内を撮影した静止画像の投影である。遠方の建物の1つ1つが楽に識別できる精彩さだ。なお,その画像の原版は,8×10判のフィルムであるとの紹介があった。やはり,大判写真の魅力は大伸ばしにある,ということだな。
 続いて映像の投影となる。CGによる隕石の衝突のシミュレーションや,日本の四季の変化を紹介する映像など,まさに息をのむ美しさだ。また,22.2chの音響設備が作り出す音場による効果もあわせて,たしかにものすごい迫力である。ただ,はじめてハイビジョンの映像を見たときのような感動は,そこには存在しなかった。単に「よりきれいなだけ」のものなら,いずれなんらかの形で実現されるだろうことは,多くの人にとって十分に予想可能なことだからであろう。
 ところで,細胞内の物質の移動を写した映像は,単に「美しい」とか「迫力がある」というだけのものではなかった。そのような内容の映像はこれまでにも,動かない写真や,今ひとつ不鮮明さのあるビデオなどで見てきたものかもしれない。あるいは,学校にあった廉価な顕微鏡で,実物を見てきたものかもしれない。それらによって頭の中に描かれてきた情報の「正解」を見せつけられたような,そんな気分である。学校教育等においてビデオクリップ等により「疑似体験」させることには,賛否あると思う。しかし,内容によっては高品位な映像を見せることがもっとも効果が高いケースもあるのではないか,という考えが頭に浮かびあがってきたものである。そういう意味で,今回,見たもののうちでは,これがもっとも印象的である。

スーパーハイビジョンの本放送は。2025年開始の予定だそうである。もっとも,私が自宅にスーパーハイビジョン対応のテレビを購入するのがいつになるのかは,まったくわからない(笑)。

試写会の後,1階に降りてみると,放送機器等の展示がおこなわれていた。また,明日からのイベントに備えての準備もおこなわれているようである。そんなところへ,なぜかやってきたのが「おしりかじり虫」である(笑)。近づいてみると,私の後ろへ回りこもうとする。そうだ,「おしりかじり虫」は,他人のお尻をかじりたいのである。「おしりかじり虫」にお尻をかじられると,幸せになるというじゃないか。かじってもらって「超いい感じぃ〜」と叫んであげるのが,お約束というものだろう。
 この「おしりかじり虫」は,明日からのイベントで,多くの人のお尻をかじりまくるはずだ。今日はそのための練習でもしていたのかもしれない。

*1 http://www.ni-pro.com/LPA.htm

画像はすべて,携帯電話機のディジタルカメラ機能による。


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