撮影日記


2007年05月10日(木) 天気:雨のち曇

急行「みよし」廃止のニュース

昨日,JR西日本から,「平成19年夏のダイヤ改正(広島・山口エリア)」が発表された(※1)。広島において大きく関係するのは,そのうちの「芸備線輸送体系の見直し」であろう。
 今回の「見直し」によって,芸備線で広島と三次を結ぶ「急行」列車「みよし」号が快速列車化され,消滅するという。ここであえて「急行」をカギカッコで囲ったのかといえば,現在,JRにおいて「急行」列車は絶滅危惧種と化しているからである。
 「急行」列車は,都市間の速達を目的とした列車で,利用するには「急行料金」が必要な列車を指す。かつて,国鉄では,幹線はもちろん,各地の支線にも適宜「急行」列車が運転されていた。しかし,幹線では新幹線の開業や,車両のグレードアップ等にともなって急行料金よりも高い特急料金の必要な「特急」列車に統合されていったり,あるいは都市近郊であれば急行料金の不要な「快速」列車化していったりという傾向があり,急行料金の必要な「急行」列車はその数を減らしていったのである。
 現在,定期列車として運転される「急行」列車は,以下の通りである。

  • 「はまなす」 青森−札幌,寝台車つき夜行列車
  • 「能登」 上野−金沢,夜行列車
  • 「銀河」 東京−大阪,寝台列車
  • 「きたぐに」 大阪−新潟,寝台車つき夜行列車
  • 「つやま」 岡山−津山,全車自由席
  • 「みよし」 広島−三次,全車自由席
  • 芸備線の急行列車(1997年の撮影)

    「つやま」と「みよし」以外は,夜行列車である。また,「みよし」以外は1往復だけの運転である。また,私は「鉄」ではないので詳しいことはわからないが,「みよし」だけが,「急行」列車の全盛期に「急行列車用」として製造された車両が使われている。悪く言えば,旧態依然とした古典的な列車になってしまっているということだ。逆に,そこに旅情を感じるという人もあるかもしれないが,広島と三次の間には,高速道路を経由するバスの便も多く,それと十分に争えるような状況ではないようだ。広島市内中心部からの所要時間を考慮すれば,バスの方が有利であろうし,「急行料金」が必要な分,利用者が支払う費用の面でもバスの方が有利だろう。
     急行「みよし」号は,現在4往復が運転されている。これらは単に廃止されるのではなく,今後は快速列車として運転されることになる。快速列車化されて急行料金が不要になれば,費用面での競争できるようになる,という意味があるのかもしれない。しかし,同時にこれまで使ってきた「急行列車用」の車両を使う必要もなくなるであろう。思うに,古い車両であるため,そろそろ廃車を念頭においているのかもしれない。また,現在,広島地区のJRでは,自動改札機の設置をすすめている。これとの関係もあるのかもしれない,と想像する。

    車両が古く,急行料金が高いとしても,バスにくらべれば鉄道車両はゆったりしていて,楽である。広島市内中心部と三次とを結ぶのであれば,芸備線は不利な位置にあると言えるだろうが,新幹線などからの乗り換え客を対象に考えれば,そういう問題はなくなるだろう。このとき,個人的には指定席の設定がほしい。いまは広島に住んでおり,その列車を利用することもないと思うのだが,私が他府県に住んでおり新幹線を利用して三次を訪れようと考えるなら,新幹線から乗り換えたあとにも座席が確保されていると,気分的にも楽である。
     快速列車化して急行料金が不要になるなら,そのかわりに指定席料金を払ってでも確実に座りたい,という人もあるかもしれない。
     とはいえ,現在「みよし」号に使用している「急行列車用」車両を今後使わなくなるのであれば,そのかわりに使用される車両は一般の通勤用車両であろう。そういう車両で,指定を設定するのは難しいのかもしれない。

    ところで,今回の「平成19年夏のダイヤ改正(広島・山口エリア)」では,新幹線に関係するものもある。新型車両(N700系)の導入が大きなニュースとして注目されるだろうが,現在は可部線から乗り継ぐことができない,朝一番の「のぞみ」に,可部線から乗り継げるようになるというのも,利用者にとっては大きなニュースとなるであろう。(※2)

    ※1 http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1172977_799.html

    ※2 http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/070509_hiroshima1.pdf


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