撮影日記


2002年07月27日(土) 天気:はれ

関係ない椅子

7月20日の日記にも書いたが,写真仲間が管理する掲示板において,あるとき,35mm判フィルムを使う正方形フォーマットのカメラが欲しい,という話題がでた。それを読みながら,私は,手元にあった「ニコンEM」に,3.5インチフロッピーディスクのシャッターを利用して,正方形のマスクをすることにあっさりと成功した。その後,調子に乗って,「ニコンF」にも同様のマスクをおこなった。「ニコンF」の場合は,ファインダースクリーンが容易に取り外せるため,ファインダー部分のマスクも容易である。

「ニコンEM」も「ニコンF」も,どちらもたまたま2台持っていた。また,どちらも1台は半ばジャンクなボディである。とくに使い道のないボディだったわけで,このような改造(というほど大げさなものでもないが)をすることに抵抗はない。

正方形フォーマットのカメラというと,6×6判がポピュラーである。私は,6×6判のカメラも何台か使用しており,フィルムを節約できるわけでもない,このような35mm判正方形フォーマットカメラを使うメリットがなにもないはずである。しかし,このカメラが完成したとき,私は以前から構想のあった「写真」を撮りたくなってしまった。やはり,新しい機材は,写欲も刺激してくれるようだ。

さて,以前から構想のあった「写真」とは,すでに「awane-photo.com」などで公開を始めているが,「関係ない椅子(解釈2)」と名づけた,一連の写真である。そこには関係ない,ある椅子が存在する光景を集めたものである。以前から撮りたかったものだが,具体的にどんな絵にしたいか,きっかけをつかめずにいたのである。正方形画面に改造した「ニコンF」のファインダーを覗いたとき,「これで撮ろう」と,ピンときたのである。

現在,いろいろなところへ撮影などにでかけるたびに,椅子を持っていき,ついでに撮りためるようにしている。「関係ない椅子 解釈2の2」では,益田の海岸で撮ったものを並べてみた。これは,構想の中で,撮ってみたいと考えていたものの1つである。

写真を趣味にする方にとって,著名な写真家による作品に影響を受けることも少なくないだろう。特定の写真家の作品に憧れ,そんな写真を撮りたくて勉強をしている方もあるだろう。一方,写真家に対してではなく,なにかの作品に対して,憧れを感じることもあるのではないだろうか。

私にとって,強く印象に残っている写真の1つに,植田正治氏の「砂丘モード」というものがある。「関係ない椅子」において,砂浜のシーンがどうしても欲しかった理由は,こういうところに隠れているのではないか,という気もする。大げさかな?(笑)


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