撮影日記


2024年03月10日(日) 天気:晴

ハイキーで空気が写るわけではないが

この冬は,全国的に平均気温が高く,記録的な暖冬だったとのことである。それでも,南下してきた強い寒気に広く覆われることもあって,寒さの厳しい日も少なくなかった。そして,ここ数日の間でも,真冬並みの寒さとされる日がある。つまり,寒暖差が大きい冬であったということになる。
 それでも3月に入ると,朝の明るくなるのが早く,夕方の暗くなるのが遅く感じられるようになる。よく晴れた日であれば,日差しも強く,あたたかく感じる日もある。いつのまにかウメの花の時期も終わっていて,いまはスイセンの花が見られるようになってきた。もっとも,うちで植えているスイセンは開花時期がやや遅いようで,ご近所ではとうに咲き終わっていたりするのであるが。

植えている(というか,生えている)スイセンには,何種類かある。まず咲いたものは,そのうちでも背の低い種類のスイセンである。したがって,これを撮るには,上から覗けるタイプのカメラが好都合である。一眼レフカメラであれば,ウエストレベルファインダーを使いたいが,ウエストレベルファインダーを使えるデジタル一眼レフカメラを所有していないので,いわゆるミラーレスカメラを使うことにする。とくに,液晶モニタの角度を変えられるものが好都合ということになる。そこで久しぶりに,SONY αNEX-C3の出番となる。このカメラで使えるマウントアダプタをいろいろと入手しているので,いろいろなレンズを試してみるにも都合がよい。そうはいっても,お気に入りのレンズは決まっており,その出番が多くなってしまうのはしかたない。

今日のレンズは,Mamiya-sekor E Macro 50mm F3.5という,マミヤZEシリーズ用の接写用レンズである(図3-1)。単体では1/2倍までの接写が可能であり,専用の中間リングを併用することで,等倍までの撮影ができるようになっている。レンズに絞りリングはあるが,絞りリングを動かしても絞り羽根は動かない。このリングの役割は,絞りの値を伝える電気信号の内容を変えるだけであり,絞り羽根はその信号を受けたカメラボディからレバーを動かして制御されるようになっている。そのため,マウントアダプタには,そのレバーを動かして絞り羽根を開閉するためのダイアルが設けられている。

マミヤZEシリーズは,マミヤから発売された35mm判一眼レフカメラとしてさいごのシリーズである。その最終モデルは1982年に発売されたMamiya ZMで,その後,マミヤは35mm判カメラの市場から撤退した。それは,デジタルカメラが市場にあらわれるよりも前であり,35mm判一眼レフカメラでオートフォーカスが一般的になるよりもさらに前のことである。そのような古い時代のもので,かつ,比較的マイナーな存在のシステムだから,マウントアダプタもあまり流通していない。市販製品の入手をあきらめて,キヤノンFD用のマウントアダプタを無理に改造して利用しようとしたこともあった(2018年12月23日の日記を参照)が,2022年の秋にようやく市販製品と出会ったものである(2022年9月21日の日記を参照)。ともかく,マウントアダプタがあれば,使う機会がすっかり減ってしまったレンズであっても,それを楽しむことができるのである。

SONY αNEX-C3, Mamiya-sekor E Macro 50mm F3.5

スイセンを見上げるようにカメラをセットしたときに,ちょうど逆光気味になるタイミングを見計らって撮るようにした。SONY αNEX-C3の感度の設定は,低感度側にはISO 200相当までである。そのため,開放(F3.5)ではやや露出オーバーとなるが,全体に黄色く,明るく見える被写体なので,少しオーバー側に補正して露光するくらいがちょうどよいのである。このレンズの描写は,どちらかというと硬質に感じるものである。ボケはなめらかでなく,二線ボケ(ピントがあっていないとのころでは,1本の線が2本に見えるようにボケて見えること)傾向がある。だからこそ,開放で使いたいわけである。その結果,露出がオーバー気味で,逆光の条件であり,さらに二線ボケの傾向があわさることで,全体としてフレアがかったような写りを見せてくれた。この結果に対して,春のかすんだ空気が写っているように見えるという表現を使うのは,大げさだろうか。

SONY αNEX-C3, Mamiya-sekor E Macro 50mm F3.5

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