撮影日記


2024年01月02日(火) 天気:晴

コダックの露出表

昨年末,いつも利用しているSNS上で,Kodak Stereo Cameraを話題にしている人があった。それを見たわたしも,この年末年始にはKodak Stereo Cameraを使おうと考えた。要は,影響を受けやすいのである。ともかくステレオ写真を撮りたくなったのであり,Kodak Stereo Cameraだけでなく,TAKARA-TOMY 3D ShotCamも用意した。これはステレオ写真を撮ることができるデジタルカメラであり,画質の面ではいわゆる「トイデジカメ」であるが,すぐに結果を見ることができる魅力はなにより大きい。昨日の日記に,3D ShotCamで撮ったものを掲載したのは,つまりこういう事情があったのである。つまりこの年末年始は,Kodak Stereo CameraとTAKARA-TOMY 3D ShotCamをいつも持ち歩いていたのである。

今日は,昨日とはまた別の人と会う予定があり,なんばへ向かう。なんばのEDION前がちょっとした公園のようなスペースになっているのは知らなかった。そして,相手もちょうどKodak Stereo Cameraを持ち歩いているとは,予想だにしていなかった。
 そこでは,いくつかの資料をいただいた。なお,わたしのほうからは,「オリエンタルの手ぬぐい」(2023年11月5日の日記を参照)などを提供した。いただいた資料の大半はムービーカメラに関するものであるが,そのなかにスチル撮影用の露出表も含まれていた。

形態としては,2つ折りの4ページである。1つの面は,屋外での撮影の目安となる「SNAPSHOT DIAL」になっている。ダイアルを回して,2種類あるフィルム(「コダクローム」あるいは「コダカラーまたはエクタクローム」)を5段階(快晴の海岸または雪景色,快晴,晴れ,明るい曇,屋外の日陰)の撮影条件にあわせ,下部で「シャッター速度」と「絞り(F値)」の値を読み取ればよい。たとえば,使用するフィルムが「コダカラー」で,快晴の条件で撮る場合は,シャッター速度が1/100秒であれば絞りはF8ということになる。

現代のISO 100のカラーフィルム「業務用フジカラー100」のパッケージに印刷された露出表を参照すると,「快晴」の条件で撮る場合は,シャッター速度が1/250秒で絞りはF11となっている。これと比較すると,この当時の「KODACOLOR」の感度は,「業務用フジカラー100」より2段ないし2段半くらい低く,ISO 25ないし20くらいに相当するものとして扱われていたように思われる。

また,この裏面には,モノクロフィルム用の露出表がある。これは,「KODACOLOR」で撮影条件をあわせて使用する。「快晴」の条件では,フィルムが「プラスX」の場合,シャッター速度が1/200秒で絞りがF11になっている。当時の「プラスX」は,現在のISO 80くらいに相当するものとして扱われていたように思われる。

反対側の面は,フラッシュ撮影の目安となる「FLASH DIAL」になっている。「ガイドナンバー」をあわせることで,「光源と被写体との距離」と「絞り(F値)」との関係を読み取ることができるようになる。「ガイドナンバー」については,裏面の表から読み取るようになっている。

ガイドナンバーは,「フィルムの種類(感度)」「シャッター速度」「発光器の反射板の大きさ(および材質)」と「使用する閃光電球の種類」によって決まる。非常に複雑に見える表だが,いろいろな種類のフィルムや発光器,閃光電球を使い分けるのでもなければ,自分がふだんから使うものを把握しておけば問題ないだろうとは思う。ただ,わたしはそのような環境での撮影を体験したことがないので,あくまでも想像するのみである。

ここではいろいろなフィルムの銘柄が登場するが,ASAなどの感度を示す値が明記されていない。そんなものは知らなくてもよい,お天気や距離などの状況だけ判断すればよい,という方針なのかもしれない。
 いうまでもないが,「コダクローム」は外式カラーポジフィルム(現像処理のときに色を加えるタイプのフィルム),「エクタクローム」は内式カラーポジフィルム(フィルム内に色素が入っている),「コダカラー」は内式カラーネガフィルム(フィルム内に色素が入っており,現像すると色や明暗が反転した状態のネガ像が得られる)である。日本カメラ「カメラ年鑑1958年版」によれば,外式のカラーフィルムは「撮影済みのフィルムはすべてメーカーで現像してくれる」ものであり,(国産品は)フィルムの価格に現像料が含まれているのに対し,内式のカラーフィルムは「自家現像を目的にしているのでフィルム代に現像料が含まない」とのことである。フィルムのパッケージにいまでも「現像料は含まれていない」という文言が記載されているのは,こういう時代の名残ということであろう。いや,もっと以前の,もしかしたら「ザ・コダック」の時代からの名残なのかもしれない。


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