撮影日記


2023年07月06日(木) 天気:晴

AF RIKENON 50mm F2で撮る

AF RIKENON 50mm F2が発売されたことで,はじめて,ライカ判の一眼レフカメラでオートフォーカス撮影ができるようになった(2023年6月22日の日記を参照)。世界ではじめて市販された,一眼レフカメラ用のオートフォーカスレンズは,どれくらい実用的だったのだろうか。レンズとカメラの動作が動作することが確認できたので,試し撮りをおこなった。なお,使用したフィルムは使用期限が2005年12月の「業務用フジカラー100」,現像処理はカラーペーパー用の「エクタカラーRA」でおこなっている。

RICOH XR6は,AF RIKENON 50mm F2とセットになって「スクープアイ」という名称でもカタログに掲載されていた。とはいえ,このカメラは,このレンズの専用ボディというわけではない。このレンズの測距機構はレンズに内蔵されており,すべてのKマウントのカメラでオートフォーカス撮影に使える(機種によってはペンタ部に内蔵されたフラッシュなどが支障になって装着できない場合もある)ことになっている。RICOH XR6には測距機構は内蔵されておらず,そのためファインダー内に測距するエリアを示すことができないことになる。つまり,画面の中央付近にピントを合わせてくれるのだろう,と期待するしかない。
 このように,ピントを合わせたいところを画面の中央に位置させたところ,レンズはあっさりとピントを合わせてくれた。

RICOH XR6, AF RIKENON 50mm F2

それに対して,ピントを合わせたい立札を画面の中央に置いたが,それを斜めからねらった場合は,背景にピントが合いがちになる。撮影レンズとファインダーが別々なコンパクトカメラだと,ピントが合っていないことに気がつかないかもしれないが,一眼レフカメラだからファインダー内でピントが合っているかどうかが確認できるので,この立札にピントが合うまでオートフォーカスの操作をやり直すことになる。このレンズでは,オートフォーカスのボタンを押すときにピントを決めて,それにあわせてレンズを動かすようである。そのため,「ピントの位置に迷って,ピントリングが行ったり来たりする」という現象は見られない。合うときは一発で合うが,間違ったときは別のところに合わせてしまうのである。

RICOH XR6, AF RIKENON 50mm F2

オートフォーカスの操作を何度かやり直さなければならないこともあるば,数mくらい離れた被写体には実用的にピントを合わせてくれることがわかった。もっと,近い被写体にはどうだろうか。
 AF RIKENON 50mm F2の最短撮影距離は0.6mとなっており,ピントリングにはそこまでの指標が刻まれている。しかし,オートフォーカスで測距できるのは,1mまでということになっている。

RICOH XR6, AF RIKENON 50mm F2

水の出ているところにピントを合わせたかったが,そこを画面の中央に置いてもピントは背景のほうに合ってしまう。そこで,カメラをすこし下に向けて,台の縁を画面の中央に置いたところ,水のところにピントが合ってくれた。これは,被写体が小さい場合にはピントが合わないのではなく,いわゆるパララクスの問題だろう。被写体の位置が無限遠に近いときは,測距センサの中央と画面の中央とがほぼ一致しているが,被写体の位置が近距離になるほど,測距センサの中央が画面の上のほうにずれていると考えられる。近距離にピントを合わせるときは,カメラを少し下に向けるのがコツのようである。
 カメラに測距センサが内蔵されて,TTLのオートフォーカスが実現されると,こういう問題はなくなることになる。

RICOH XR6, AF RIKENON 50mm F2

以上のクセをおおむねつかんでおくと,AF RIKENON 50mm F2は,思ったよりも実用的なものであると実感できた。ごく初期のオートフォーカス機器なので,精度も動作も頼りないものかと思っていたが,実際に使ってみないとわからないものである。ただ,その当時に,たとえ廉価モデルであったとしても一眼レフカメラを買おうと考えた人が,このような発展途上のオートフォーカスを使おうと考えたかどうか,それはわからない。

RICOH XR6, AF RIKENON 50mm F2

AF RIKENON 50mm F2の最短撮影距離は0.6mで,レンズ構成は5群6枚とのことである。そのためレンズ本体は,1980年に発売されたプラスチック鏡胴のXR RIKENON 50mm F2Lを利用したのではないかと想像できる。それは「リコーのサンキュッパ」として有名なRICOH XR500とセットになっていたレンズであり,価格の安さが最大の特徴だと考えられる。一方で,一般的にはすこし絞り込んで使うことになり,その場合,価格の割にはよく写るという評価を,その当時に聞いたものである。
 使っているフィルムは有効期限を大幅に超過したものなので,2段階ほど低感度(ISO 25相当)のフィルムとして使っている。また,オートフォーカスがどのくらい実用的かを知るために,開放に近いところで使っている。すると,ピントがあった中心部はシャープだが,背景のボケは少々わずらわしく,また収差でぐるんぐるんと渦を描いていることがわかる。すばらしい高性能だとほめたたえることはできそうにないが,収差がほどよいために使っていて楽しいレンズであることは間違いない。
 元になったと思われるXR RIKENON 50mm F2は「和製ズミクロン」などと名付けられて持ち上げられているようだが,「ズミクロン」そのものを使ったことがないので,そのあたりの比較や評価はできない。


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