撮影日記


2009年04月02日(木) 天気:はれ

今年も楠木の大雁木にて
サクラを撮る
(EPP編)

昨日は,Mamiya Press SUPER23を使ったのだが,時間があったわりには,フィルム1本すら撮りきることができなかった。三脚を立てて,ピントグラスで構図を整えピントを調整し,フィルムホルダに取りかえて撮影する,という手順は,どうしても時間がかかるようである。ブロニカETRSやマミヤRB67などの一眼レフカメラが,いかに撮りやすい形態であるかが思い知らさせるばかりだ。
 もっともマミヤプレスでは,一眼レフカメラよりももっともっと気軽な撮り方が可能である。ピントは目測であわせておき,ビューファインダーを利用して撮ればいいのだ。被写体まである程度の距離があり,よく晴れた日中であればそれなりに絞りこむため,これでも十分なのである。
 そのうえ広角レンズを使用していたのなら,さらにピントやブレが目立たなくなるので好都合。しかし,厳密なフレーミングはできなくなる。この写真も,画面の下のほうに,人が写りこんでしまったので,かなりトリミングをしている。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-Sekor 75mm F5.6, E100VS

今日もお昼休みに「楠木の大雁木」での撮影である。
 「楠木の大雁木」まで来ると,そこにカヌーが置いてあった。いったい誰がどうするんだろう?と思っていたら,ややご年配に見える男性が,そのカヌーをもって雁木を下りて行った。そして,「すいすい」が通り過ぎるのを待つように,どこかへ漕ぎだして行ってしまった。
 カヌーを利用して,自由に川からサクラを楽しめるというのは,ちょっとうらやましい。しかし,この男性が写りこんだために,この写真はトリミングが必要になってしまったとも言える。ちょっと,うらめしい(笑)。
 夏になると,ホームセンターなどで,安いゴム製のボートやカヌーが売られるのを見かける。岸からちょっと離れて写真を撮るだけなら,そんな製品でも使い物にならないだろうか,ちょっと気になってくるのであった。

「すいすい」が行ってしまったので,雁木に覆いかぶさるサクラを撮ることにする。
 昨日からのフィルムを使いきったので,フィルムを交換する。私がよく使うカラーポジフィルムは,コダックのE100VS(プロフェッショナルエクタクロームE100VS)とEPN(エクタクローム100プロフェッショナル)である。いや,E100VSとEPNで「あった。」というべきか。EPNは,製造・販売が終了してしまったのである。
 E100VSは,高彩度がセールスポイントのフィルムだ。それに対してEPNは,自然な色合いが特徴とされる。実際に使ってみると,E100VSの像は派手な色を塗り重ねてやや不透明な印象があり,EPNの像は色が塗り重ねられていないかわりに透きとおったような印象がある。まったく対照的なフィルムだと感じていたのである。
 しかし,絶版というのではしかたない。E100VSと対照的に使い分けられるフィルムを選ばなければならない。自然な発色をセールスポイントにしたE100Gというフィルムがあるが,EPNのような透きとおったような印象がない。いや,透明感−−という言葉を使っていいのかどうかわからないが−−はEPNと同様にあるのだろうが,その色合いがEPNとは違って感じられるのである。
 「EPなんちゃら」(Ektachrome Professional)シリーズと「E100なんちゃら」(Professional Ektachrome E-Family)シリーズは,基本になる色が違うんじゃないか?という感じがするのだ。
 現在,販売が継続している「EPなんちゃら」は,EPP(エクタクローム100プラスプロフェッショナル)のみ。とりあえず,これを試してみるしかない。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-Sekor 100mm F3.5, EPP

こういう被写体は,アオリを効かせるのもおもしろそうだ。
 後部アオリのみでシフトもできない,沈胴式レンズを使わなければ無限遠が出せないなどの制約もあるが,後部に蛇腹があってちょこちょこっと簡単にアオリ機能が使えるところが,マミヤプレススーパー23のいいところ。
 この蛇腹は,そのまま平行に引き出せば,接写のときにも便利である。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-Sekor 100mm F3.5, EPP

EPPでの撮影結果だが,E100VSやE100Gのような「こってりさ」とも異なり,EPNのような「渋さ」とも異なる,妙にすっきりした画像が得られた。コダックのサイトによれば,EPPの特徴として「ハイライトが柔らかく、白の再現に優れ、また、淡い微妙な色も忠実に再現」(*1)とある。これを真に受ければ,サクラのような被写体を,ややハイキーで撮るのは正解のようにも思われる。ただ,なんとなくだが,コダックらしくない印象だ。なんとなく,フジっぽい?

反論があるかもしれないが,アオリのできるカメラを使ったことがないことは,絶対に不幸なことだと思ってしまう。ともあれ,アオリを使ってしまうと,アオリがおもしろくなってくる。だから,石垣に写ったサクラの影が気になって,また無理なアオリをしてしまうのであった。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-Sekor 100mm F3.5, EPP

ただ,無理なアオリをしていると,とにかく時間がかかる。
 お昼休みだけではとてもフィルムを使いきれなかったので,夕方から平和公園に行ってみることにした。
 元安橋より下流側では,お花見のグループがひしめいている。すなおに,原爆ドームの周辺でサクラの撮れそうな場所をさがしてみるが,夕方の空が美しかったのでついついこんな写真を撮ってしまい,時間を無駄に過ごしてしまうのだった。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-Sekor 100mm F3.5, EPP

サクラを撮ろうという気になったのは,あたりがすっかり暗くなってから。やや絞り気味にしてから8秒ほど露光してみたところ,空が見事に青くなった。こんなあたりも,EPPはどことなくフジっぽいのだろうか?
 まあ,EPPはまだ2本使っただけである。これからさまざまな場面で使ううちに,また印象も変わってくることだろう。ただ,EPNと同じような「色」は,もう期待できないのかもしれない。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-Sekor 75mm F5.6, EPP

*1 http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/professional/products/films/film_list/colorReversallist.shtml


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