撮影日記


2005年05月06日(金) 天気:雨のち曇

コンパクトな距離計連動機 フジカGER

いつも通っている街角でも,写真を撮っておこう,と瞬間を感じることがあるだろう。そのため,私は,出かけるときにはほとんどいつも,なんらかのカメラを携帯している。そういう目的のために「お気に入り」なカメラは,ときどき変わるものの,基本的にコンパクトなものがありがたい。したがって,「コンパクトカメラ」というものを選択することが多い。
 最近の「お気に入り」は,「フジカGER」というカメラである。

コンパクトカメラは,初代「ピッカリコニカ」を前後に,その基本的な性格が大きく変わっているといえる。初代「ピッカリコニカ」以後のカメラは,レンズの明るさにあまりこだわらず,ピント調整もAFや目測などの「あいまい」なものが主流になっている。一方,初代「ピッカリコニカ」以前の製品は,明るいレンズを搭載したり,距離計連動機構を取り入れたりしたカメラが主流であった。操作性,撮影の精度,レンズの描写などは,初代「ピッカリコニカ」以前のカメラの方が,よりよいものが期待できる。その反面,カメラは全体に大ぶりで,撮影に慣れない人には,失敗する可能性も高い。
 「フジカGER」は,そういう大きな変化の直前に登場したカメラである。搭載するレンズは,フジノン38mm F2.8であり,レンズの明るさにはこだわっていない。また,フラッシュ装置も内蔵されていないので,カメラは非常に小型にしあがっている。また,連動距離計が内蔵されており,ピントの精度は期待できる。
 実際に撮影してみると,手にすっぽりとおさまってしまいそうな,ボディの小ささに感激するであろう。そして,レバーでフィルムを巻き上げ,ファインダーを覗いたままピントを調整することができるところに,安心感がある。難点をあげれば,シャッターレリーズボタンのストロークが長く,手ブレをしてしまいそうな点があるが,それ以外は,常時携帯して気軽に撮るという使い方に,非常に適していると感じられる。

Fujica GER, FUJINON 38mm F2.8, Gold200

これまで,「お気に入り」になったコンパクトカメラもいろいろあるが,それらはピント調整が目測式であったり,AFであったりするものばかりである。一方,距離計連動式カメラは,大きく重いものばかりである。「フジカGER」は,距離計連動式カメラとしては,非常にコンパクトで軽いカメラになっているところが,最大の特徴といえるだろう。
 このカメラは,中古カメラ店の店頭でも,高い価格がつけられていることは少ない。ジャンクコーナーにころがっていることすらある(私はジャンクコーナーから800円で拾い出している。動作にまったく問題はなかった)。このような扱いを受ける理由の1つとして,「フジカGER」は,製造停止になった水銀電池を使うカメラであることがあげられる。とはいえ,2個のLR44で動作させることもできる(「ジャンク大帝」の記事を参照)ので,使用不能というわけではない。ただし,どの程度の精度があるのか(ネガカラーで撮影する場合には,十分に許容範囲に収まっていると思われる),これが故障の原因につながることがあるかどうかは,わからない。


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