撮影日記


1999年10月10日(日) 天気:はれ

大判カメラ事始め (4)

体育の日は,晴れの特異日と言われる。統計上,晴天になる確率が異常に高いのだ。ところが,休日が必ずしも晴天とは限らない。もっとも,晴天でなくても,それなりの撮り方,それなりの被写体というものはあるのだ。

日本海の波は激しい。少し,天気が悪いとたちまち波高数mの波になる。瀬戸内海とは,まったく性格の異なる海であると言えよう。
 私がよく撮影に行く場所の1つに,山口県の須佐というところがある。天気が荒れ模様のときでも,いや,そういうときこそ,絵になるのだ。須佐の海岸に,変成を受けた砂岩層の岩壁がある。白と黒の縞模様が美しい岩壁だ。海が荒れれば,さらに,白い波しぶきが襲いかかる。このようなダイナミックな光景を,大画面に写し撮るべく,天気の悪い日を選んで出かけた。その日は,ちょうど寒冷前線が通過した直後であった。北西の強風が吹き荒れ,日本海は3m以上の波になると,予報されていた。

現地は,期待通りの大波である。さっそく,岩壁のところまで降りていった。波は激しいが,そこは平坦な面が広がっており三脚も立てやすく,水際に近づかなければさほど危険ではない。しかし,風の強さは半端ではない。波のしぶきが次々に飛んでくるので,カメラを出すことができないのだ。サブ機として持ってきた「マミヤ6」を手持ちで写すのが精一杯である。もっとも,波を狙って,たちまちのうちにフィルム1本(プレスト100)を撮りきってしまった。
 やむを得ず,岩壁を見下ろす高台に移動して,全景を狙うことにした。三脚を立てて「タチハラ フィルスタンド45」をセットする。レンズはフジノン210mmを 装着し,おおよその構図を決めた。さて,構図とピントを厳密に決めようかと,冠布をかぶろうとした・・・・が,かぶれない。風が強いのだ。冠布はぱたぱたはためくだけで,かぶれない。やっとの思いでカメラに巻き付け,かぶることができたが,今度は風に吹かれてカメラがゆれる。そのような苦労の末,ようやく撮ることができた。EPPとネオパン100で撮っておいた。
 さらに件の岩壁の対岸に移動して,撮影することにした。ここでも冠布をかぶるのひ一苦労あった。冠布をかぶってピントを合わせ,さて撮ろうかと顔を出したら,近くにいた人がこちらをずっと見ているではないか・・・・・

人のいるところで冠布をかぶるのは,かなり恥ずかしい。しかし,かぶってしまえは,その中は自分の世界。構図やピントの調整にじっくり取り組めるぞ。このときのように風が強いときには,いい寒くなくていい。
 ・・・ってことは,夏の暑いときには地獄を見ることになるのだろうか・・・・

TACHIHARA Fielstand45, FUJINON W/S 150mm F6.3, F16 1/3, 1/15sec, NEOPAN100

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