撮影日記


2017年04月19日(水) 天気:晴

飛んできたイスタンブールから
AliExpressにバッテリーを注文した

ライカ判サイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラとして最初に発売されたものは,京セラのCONTAX N Digitalで,2002年5月に発売された。ついで,2002年11月にはキヤノンからCanon EOS-1Dsが発売されている。2003年5月に発売されたKodak DCS Pro 14nは,ライカ判サイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラとしては,初期のものになる。ライカ判サイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラがニコンからはじめて発売されたのは,2007年11月のNikon D3なので,ニコンFマウントのものとしてはKodak DCS Pro 14nがはじめての製品ということになる。
 Kodak DCS Pro 14nの撮像素子は,ライカ判サイズで1350万画素のCMOSセンサである。最近の製品と比較すると画素数がやや物足りなく感じるかもしれないが,そもそも600万画素あれば四切サイズくらいまではじゅうぶんにプリントに使えるので,1350万画素もあれば多くの場合,問題ない。半切や全紙のような大きなプリントをつくるのが前提であれば,はじめから中判ないし大判のフィルムで撮るほうがよい。
 Kodak DCS Pro 14nの性能で問題が指摘されるのは,高感度に設定して撮影するとノイズが目立つようになる点である。そしてもう1点,バッテリーがあまりもたないという点も指摘される。

私のところにやってきたKodak DCS Pro 14nは,業務で使い古されたものである。そもそも古い機種であるうえに,酷使されていたのだから,バッテリーはそれなりに劣化している。フル充電してカメラにセットしても,1〜2回のシャッターレリーズで「残量OK」表示が「残量警告」表示になってしまう。そこからは,いつバッテリーが切れるかびくびくしながら撮ることになる。きちんと計測していないが,1〜2時間ほど使っていると,バッテリーが切れてしまう印象だ。4本のバッテリーパックと2台の充電器とともにやってきたので,撮影をおこなうのにじゅうぶんな電源はなんとか確保できるものの,バッテリーパックの交換が頻繁になるのは,いただけない。

いくらバッテリーのもちが悪いという評価がされている機種でも,ここまでもちがよくないのは,やはりバッテリーの劣化が疑われる。そこで,1本くらい新品のバッテリーを入手しておこうと思うが,メーカーでの補修部品はとうになくなっている。そもそも,Kodak DCS Pro 14nを発売していた当時のKodakというメーカーは,事実上消滅している。互換バッテリーパックがamazonで売られていないかさがしてみても,すでに販売を終了している。

あたらしいバッテリーパックを購入できないのであれば,殻割してバッテリーを入れかえるしかない。

幸いなことに,Kodak DCS Pro 14nのバッテリーパックは,殻割しやすい構造になっている。

ロック部分は,4本のネジをはずせば簡単に分離できる。

バッテリーパックそのものは,はめこまれているだけなので,簡単に割ることができる。

Kodak DCS Pro 14nのバッテリーパックの出力電圧は,7.4Vである。単4型のNi-MH電池を使うならば6本必要になるが,それすら入りそうにない。また,6本のNi-MH電池を直列につないでも,7.2Vにしかならないし,750mAhでは容量があまりに小さい。つまり,Ni-MH電池に入れかえても,じゅうぶんな代役ははたしてもらえそうにない。Kodak DCS 460で利用したパソコン用のバッテリー(2016年1月21日の日記を参照)も,このバッテリーパックの殻に入れるのは無理だ。
 コンパクトディジタルカメラのバッテリーパックを利用する(2016年4月14日の日記を参照)ことを考えたが,Kodak DCS Pro 14nのバッテリーパックに入るのは,やはり750mAhしかないNP40くらいである。
 そこで,Kodak DCS Pro 14nのバッテリーパックに使われているバッテリーそのものの入手を考えることにした。このバッテリーは,「103450」というタイプのリチウムイオン電池である。パナソニックの製品があるようだが(*1),amazonやYahoo!ショッピングといった日本国内の通販サイトでは出品を見つけられず,ようやく見つけても「販売終了」となっている。
 「103450」という型番でWeb上を検索した結果,AliExpressという通販サイトでの出品にたどりつくことができた。そこには,じつに豊富な出品がある。ただ,利用したことのない海外の通販サイトであるから,少々,警戒もする。Kodak DCS Pro 14nのバッテリーパックに入っていたものと同じように2個が直結されているリチウムイオン電池が約$23で,送料が約$5である。同じサイズのリチウムポリマー電池なら,送料込みでも1つ$7ほどである。2つで約$23(+送料約$5)のリチウムイオン電池を選ぶのがよいと思うのだが,送料込みで1つ約$7のリチウムポリマー電池を2つ,その安さにひかれて注文することにした。

Chinaの業者が出品するマウントアダプタをamazonで注文したとき,商品を実際に受け取るまでの日数は,8日であった(2017年3月12日の日記を参照)。AliExpressで注文した出品者は,「we使用シンガポールポストまたはepacket」(日本語ページは,機械翻訳がされているようである)とあるので,シンガポールから発送されるものと思われる。マウントアダプタはSHENZHEN (深セン)から発送されて8日間かかったので,それより少し余計にかかるのかな?と,のんびり到着を待つことにした。
 発送の連絡があったのは,注文(4月3日)の翌日であった。しかし,知らされた番号が郵便局の追跡システムで表示されるようになったのは,10日後の4月14日である。それによると発送元は「TURKEY」の「ISTANBUL」…って,トルコのイスタンブールかよ,シンガポールとちがうんかい!
 4月13日(現地時間)にIstanbulの国際交換局を通過した後はほぼ順調で,4月15日には日本に到着。そして,4月19日に受け取ることができた。注文から16日後,約2週間である。

さっそく,到着したリチウムポリマー電池を使って,バッテリーパックの中身を入れかえた。充電もいちおうできたようだ。さて,これで,交換前よりも調子よく使えるようになるだろうか。調子よく使えたら,追加でもう1〜2セットを注文しよう。あわないようだったら,こんどは送料が必要になるが,2本で約$23のリチウムイオン電池を注文し,試してみようと思う。

なお,バッテリーパックの改造は,危険をともなうことのある行為である。ここで紹介した内容と同じことを試されるときは,あくまでも自己責任でおこなっていただきたい。

*1 角型リチウムイオン電池 UF103450P (パナソニック株式会社)
https://industrial.panasonic.com/jp/products/batteries/secondary-batteries/lithium-ion/prismatic-type/UF103450P


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