撮影日記


2014年9月8日(月) 天気:晴れ

ケンコー「デジアイピース」で
「中秋の名月」を撮る

1年は365日であるが,もう少し詳しく見れば,およそ365.2422日になることが知られている。
 いま日本をはじめ世界各国で使われている暦(こよみ)は,「グレゴリオ暦」とよばれるものである。これは,太陽の動きをもとにした「太陽暦」の1つである。「グレゴリオ暦」はよく知られているように,1年を365日としたもので,1年を366日とする「閏年」を400年間に97回設けるようになっている。「グレゴリオ暦」での1年は365.2425日となり,太陽の動き(実際の季節)とのずれは,とても小さいものになる。
 日本で「太陽暦」が使われるようになったのは,グレゴリオ暦の1873年(明治6年)1月1日であった。それ以前に使われていた暦は「太陰太陽暦」とよばれるもので,月の動きをもとにした「太陰暦」(1年を354日とする)に季節の補正をくわえたものである。「太陰暦」は月の動きをもとにしているので1か月は29.5日となり,1年(12か月)で354日にしかならない。これだと,暦と太陽の動きのずれが大きすぎて都合が悪い。そこで19年間に7回,「閏月」を加えて1年を13か月にすることで,季節とのずれを調整うするようにしていた。「グレゴリオ暦」の前に使われていた「太陰太陽暦」は,単に「旧暦」とよばれることも多い。

日常生活のなかでは,さまざまな風習がある。季節による風習は,「旧暦」にもとづいているものも多い。秋の風習としては,「月見」がある。とくに旧暦8月15日(から16日にかけて)の夜の月は,「十五夜」「中秋の名月」とよばれている。
 旧暦8月15日は,現代の暦では9月中旬にあたる。「月見」としては,「十三夜」とよばれる旧暦9月13日(から14日にかけて)の夜の月もあるため,そのあたりを正確に覚えておかないとたとえば「月見は(現代の暦の)9月13日と9月15日にするのだ」と混同してしまうかもしれない。
 ともあれ,旧暦ではときとして「閏月」が挿入されるなど,現代の暦とのずれは単純ではない。旧暦8月15日は,現代の何月何日か簡単にはわからない。具体的にどうなっているかは,たとえば「月探査情報ステーション」(*1)というWebサイトなどで参照することができる。これによれば,今年(2014年)の「中秋の名月」は,おお,今夜(9月8日)ではないか(*2)。

Nikon D70, Vixen D=80mm f=1200mm, 1/500sec, ISO800

今夜の空は,よく晴れている。毎日が曇りがちで雨の日も多かった先週までとはちがって,雲がほとんど見えない。きれいな,お月さまである。

Kenko Digi-Eyepice, Vixen D=80mm f=1200mm

雲のない空であるが,上空の気流は乱れているようで,ケンコー「デジアイピース」で拡大した画像はかなりふらふらしている。やはり,ピントあわせが難しいが,しかたない。
 なお,「デジアイピース」で撮影した画像だが,昨日の日記を参照いただければわかるように,天頂プリズムを併用して撮影している。つまり,左右が反転しているが,そこは修正していないのでご了承を。

Kenko Digi-Eyepice, Vixen D=80mm f=1200mm

月を望遠鏡で眺めるときは,端のほうが楽しい。満月のときよりも,大きく欠けているときの「欠けぎわ」がいい。そういう場所は,月面にあるクレーターに影ができていて,立体感があって見た目に楽しいのである。
 今日は「中秋の名月」という,特別な日だ。きれいな満月は,たしかに美しい。これはあくまでも望遠鏡がない時代に,夏の暑さを忘れながら涼しい風を楽しむための明るい夜なのだ。
 こんどケンコー「デジアイピース」を使うのは,もっと月が欠けているときにしてみよう。

*1 The Portal of Lunar Exploration(月探査情報ステーション)
http://moonstation.jp/

*2 FAQ:中秋の名月はいつ?(月探査情報ステーション)
http://moonstation.jp/ja/qanda/qa.php?q=F211


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