撮影日記


2007年06月16日(土) 天気:晴れ

EOS10のシャッター幕清掃

私はまだ,キヤノン「EOS」を1台ももっていなかった。だから,1台くらいは入手しておこうと考えていた。
 しかし,本気で撮影するための機材として使うつもりはないので,あくまでも格安で入手したかった。そのようなときには,ジャンクコーナーの利用価値が高まる。以前のメカニカル制御のカメラであれば,「露出計が故障しているがそれ以外は問題なし」というジャンク品をよく見かける。それらは期待通り安価であり,かつ,単体露出計を併用することで,撮影も滞りなくおこなうことができる。ところが,EOSシリーズのように高度に電子制御化されたカメラには,そのような「お買い得品」は期待できない。露出計にかぎらず,電気回路の一部に異常があれば,全体の動作に支障をきたすことになるだろうし,それらは単純な断線が原因でもないかぎり,素人修理はほぼ不可能であろう。
 ところで,初期のEOSシリーズのカメラには,「シャッター幕に油がついて正常に動作しなくなる」という「持病」があるという。その症状が出ているカメラの場合,電気回路等には異常がなく,それだけが問題であるものも含まれている可能性が高い。そういうカメラをさがしてみることにした。
 そうして出会ったものが,EF 35-135mm F4-5.6USMレンズとセットで見つけた「EOS10 QD」である。

Canon EOS10 QD, EF 35-135mm F4-5.6 USM

レンズには激しくカビが生じていた。前玉の表面と後玉の表面にかなりのカビが見えるので,いつものように「フィルムケース半分の水」に「ハンドソープを1滴」加えた液で拭きとってみる。まず,それらのカビはあっさりと拭き取ることができた。
 レンズの内部を見てみると,さらにもう1つ,激しくカビのある面が見える。ただ,その面はかなり広いため,前群にあるものと考えられた。そうであれば,カビのある面に到達するための分解は,容易かもしれない。まず,前玉を抑えていると思われる正面のリングを,カニ目回しを使ってはずしてみる。すると前群を止めている3本のビスがあらわれた。それらをはずすと前群レンズを取り出すことができ,その裏側にあったカビを拭き取ることができた。清掃後の組み立ては容易だったが,全体に薄いプラスチックという印象で,ネジをきつくしめすぎたりしないかと不安を感じるものであった。

次に,シャッター幕の清掃である。
 比較的最近の機種を除いたEOSには,シャッターユニットに使われているゴム部品が劣化し,それが油状になってシャッター幕に粘りつき,シャッターが正常に動作しなくなるという持病のあることが,よく知られている。今回入手した「EOS10」もお約束通り,シャッター幕左下に「油」がついている。しかし,まだ軽症のようで,それによって固着していたりはしない。有機溶剤(GANGYミスノンの「うすめ液」を使用)をティッシュにつけて,そーっと拭き取ることを何度かくりかえすことで,シャッター幕についていた「油」はみえなくなった。
 さて,このあとは「油」の源であるゴム部品をとりはずし,別のものに置きかえるのがベストなわけだが,そんなところまで分解し,再び組み立てるだけの根性や技術はあいにくもちあわせていない。そこで,なにか楽で効果のありそうな代案を考えてみる。
 そこで思いついたのが,ベビーパウダーである。これをシャッター幕表面に薄く散らして,シャッターの動作を繰り返す。はみ出たパウダーはきれいに飛ばして,シャッターを動作させる,これを繰り返した。もともとが軽症だったせいか,最初から,あらたに「油」が出てくることはなかったが,もしもベビーパウダーによってゴム部品の表面に,なんらかの保護皮膜のようなものがが形成されていればラッキーである(笑)。
 さて,この状態で,あと何ヶ月くらい,ちゃんと動作してくれるだろうか。また,ベビーパウダーの効果はあるのだろうか?あるいは,このベビーパウダーが別のトラブルを引き起こしたりするかもしれない。将来が楽しみである(笑)。もし,この方法をマネして,なんらかのトラブルが発生したとしても,当方は一切関知しない。

「油」を除去し,ベビーパウダーをかけて清掃したシャッター幕。

ちなみに,EOS10の特徴としては,「多点測距」が搭載されたことがあげられる。しかし,肝心のAF性能が,いまひとつぱっとしない気がする。USMレンズのせいで動作が静かなために,動きが鈍く感じられるのかもしれない。少し前に発売されたニコンF-801様にくらべても,反応が鈍く,ピントに迷うことがあるように感じられる。ま,もともとがジャンク品なので,EOS10の実力は「こんなものではない」と考えるべきなのだろう。


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