撮影日記


2006年11月19日(日) 天気:雨

吉祥草

今月はじめに和歌山を訪れたとき(2006年11月3日の日記を参照),「瀞峡(どろきょう,瀞八丁ともいう)」というところにも立ち寄る機会があった。ここは,熊野川の支流,北山川がつくる峡谷である。川は激しく蛇行し,河原も形成されている。「ジェット船」に乗って,その景観を楽しむことができるようになっている。
 この付近は,かつて道路事情が悪く,川を通る船が主要な交通手段であったという。しかし,川は決して深くないのでスクリューが使えず,大正時代になって「プロペラ船」(水中ではなく,船の上部に設けられたプロペラによって推進力を得て航行する)が発明されるまでは,両岸から人が綱で船を引き,川をさかのぼっていたという。その後,道路が整備され,現在,船は観光用としての役割を担っている。
 「ジェット船」は,水を噴き出すことで推進力を得るようになっている。水中の低い位置にスクリューがないので,かなり浅そうに見えるところでも,すいすい航行していく。乗っているだけでも,けっこう楽しい。志古の乗り場から上瀞まで,片道約50分である。瀞峡の途中にある田戸発着場で20分ほどの休憩があって,往復3340円。2時間近くも珍しい川の船に乗るのだから,この値段にも納得しなければならないか。

途中,田戸発着場では,鮎の塩焼きやその他のおみやげものが売られている。このとき,食欲をそそられることはなかったのだが,そこで売られていた花が気になって買ってしまった。紫色のかわいらしい花をつけたそれは,「キチジョウソウ(吉祥草)」というらしい。スズラン科の常緑多年草であり,いわゆる山野草の1つでもある。
 旅行のときに,こういうものを買うべきではない。持って帰る間,「傷めたらどうしようか」と気になってしかたないのである。このあと,明石にも寄りたかった(2006年11月5日の日記を参照)ので,キチジョウソウは大阪の家に置いてきたのであった。
 そしてこの週末,また用事があって大阪に帰ってきた。金曜日の夜に,クルマで山陽道を通ってきたのである。そのため,鉢植えを持って帰るだけのゆとりがあった。

ということでようやく,キチジョウソウがうちにやってきた。かわいらしかった花は,もうほとんど終わっている。直射日光はできるだけ避けることに気をつけるほかは,寒さにも強いらしく,水やりもふつうでよいというので,なんとかなりそうである。来年の秋,また,この花を見ることができるだろうか。


← 前のページ もくじ 次のページ →