撮影日記


2006年11月05日(日) 天気:晴

「生まれたての赤ちゃん1000人展」は
世界へのメッセージ

今日は,明石市立天文科学館へ行った。ここを訪れるのは,おそらく小学生のころ以来のことである。いま,明石市立天文科学館2Fのホールにおいて,神戸市の塩屋で写真館「スタジオ・チーズ」を経営しておられる酒本さんの写真展「生まれたての赤ちゃん1000人展」が開催されている。これを見ることが目的であった。

酒本さんの「生まれたての赤ちゃん1000人展」は,これが4回目だとのことである。酒本さんは,1997年から神戸の若宮病院の依頼によって,同病院において生後3日以内の赤ちゃんの写真を撮り続けてこられているとのことだ。そして,「生まれたての赤ちゃん1000人展」の最初の2回(1999年と2005年)は,塩屋の「スタジオ・チーズ」にておこなわれた。
 昨年,この2回目の写真展の際に「スタジオ・チーズ」を訪問させていただいたことがある。その数による迫力,1つ1つの写真に見られる光のやさしさ(そしてそれは,赤ちゃんのもつ「やさしい」雰囲気を忠実に伝えておられる),そして,少子化の進行や子どもへの虐待事件が多発する現代社会に対して,赤ちゃんの存在のたいせつさ(それは生命の尊重そのものである)を訴える酒本さんの主張(というより「願い」というべきだろうか)など,いずれの面においてもおおいに感動させられたものである。
 その際,NHKはテレビで,酒本さんを紹介するドキュメント番組を放送した。その番組は,少子化などの問題をヒステリックに叫ぶこともなく,NHKらしく淡々としたものであった。そしてそれは,これらの写真とこの活動を,まさに正確に伝達している。
 その後,今年(2006年)5月には東京で第3回「生まれたての赤ちゃん1000人展」が開催され,このたび明石市立天文科学館からの招待によって,今回の写真展開催に至ったということである。

赤ちゃんを「やさしい光」でつつむためのカメラと酒本さん。

酒本さんのお話によると,最初の1000人を撮るのにはおよそ1年半かかったそうだが,今回展示した1000人(3001人目〜4000人目)を撮るのには,およそ3年かかっているとのことである。ここ10年間で生まれてくる赤ちゃんの数が半分に減っているということが,数値としてあらわれている。しかも,酒本さんによれば,「若宮病院は,まだ,出産が多い方だと思う。産婦人科をやめた病院も少なくない。」とのことだ。この事実に,危機感を持つ人は少なくないだろう。
 ところで,昨年の第2回写真展では,「生まれてきても,すぐに亡くなってしまう赤ちゃんもいる。」「(病院で出産直後に撮ってもらった)この写真だけしかない,という手紙をいただいたこともある。」という悲しい現実があることも教えてくださった。酒本さんの活動は,まさに生命の尊さを伝えているということができるだろう。
 第2回「生まれたての赤ちゃん1000人展」で「スタジオ・チーズ」を訪問させていただいた際に,酒本さんは「今度,東京での写真展の予定がある。」ということをお話しされた。それに対して,「これは日本国内だけではなく,世界中にも広めていただきたいですね。」と私は希望を述べた。「生命の尊さを伝える」ことは,日本国内だけでなく,世界中で求められていることのはずである。

今回のこの写真展は,2006年11月12日(日)まで,明石市立天文科学館でおこなわれた後,「スタジオチーズ」にて2006年11月19日(日)から11月30日(木)までおこなわれる予定とのことである。

参考 「スタジオチーズ」
  http://www.hi-net.zaq.ne.jp/studiocheese/


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