撮影日記


2005年10月08日(土) 天気:雨のち曇

DATデッキはいつまで使えるのか

先日,久しぶりにDATデッキを使ってみようと電源を入れた。そして,テープを入れて再生ボタンを押す。モーターがかすかな音を立てて,テープが走行をはじめたようだ。少しの間があって,音が出る。
 この「少しの間」というのは,DATの短所の1つである。
 DATデッキはVHSのような家庭用ビデオデッキと同様の回転ヘッドを利用しているため,起動時には,少なくともヘッドが1回転するだけの「間」が必要だという。固定ヘッドのアナログコンパクトカセットデッキやdccデッキなどには,そのような問題はない。

DATは,非圧縮のディジタルオーディオ信号を記録できるメディアである。そのサンプリング周波数は48kHzで,量子化は16ビットでおこなわれる。数値的には,音楽用CD(サンプリング周波数44.1kHz)よりも音がよいことになる。実際には,そういう数値だけで音の良し悪しが決まるわけではないが,アナログ信号である音をディジタル化するときに失われる部分がCDよりも少ないというのは確かなことだろう。この点だけみれば,DATは,MDやdccなどとは比較にならない素晴らしいシステムである。MP3を利用したディジタルオーディオなどは,お話にもならない。そこには,フィルムによる写真と,黎明期の35万画素ディジタルカメラによる画像くらいの,格の差があるのだ。
 などと吼えてみたところで(笑),いまどき記録メディアが磁気テープであるというのは,時代遅れ以外の何者でもないのは事実だろう。ディジタル信号には復元力がある(エラー訂正ができる)とはいうものの,テープは何度も使っていると傷みやすく,いずれはエラー訂正できない程度のダメージを受けることは避けられない。また,そうなったときには,その前後の音が完全に「飛んでしまう」状態になる。アナログ信号で記録されたテープが傷ついたときよりも「聞き苦しい」状態になってしまう。また,いわゆる「頭だし」にも不利といえる。
 そのようなDATをが選んだ理由は,実は「音のよさ」ではない(笑)。テープがコンパクトであることと長時間録音ができることに,魅力を感じたのである。DATには「LPモード」というものがあり,このときはサンプリング周波数32kHz,量子化は非直線12ビットとなるが,テープへの記録時間が2倍になる。よく販売されていた120分テープを使えば,(数値的にはFM放送程度の音質で)240分の録音/再生ができることになる。

さて,たまっているDATテープの何本かは,所有しているLPレコードから録音したものである。LPレコードを聴くのはなにかと面倒なので(笑),いつでも聴きやすいようにDATにダビングしておいたものである(これは著作権法第30条の「私的使用」にあたるので,問題ではない)。これを聴こうと思ったわけなのだが,テープが走行をはじめて「少しの間」がたったのに,・・・・・・音がでない。

アンプやスピーカーへの接続コードが切れていたとか,アンプの電源が入っていないとか,そういうオチではない。DATデッキのレベルメーターが,まったく振れていないのである。つまり,まったく再生されていないということか。
 ヘッドクリーニングをしてみたが,まったく変化なし。しばらくそのままにしていると,ときどき音が出る。音が出ていても,プチプチというノイズが乗っていたりする。

これは,ヘッドかその周辺に問題ありか・・・・? orz

メーカーに問い合わせてみると,そのような症状では,やはりヘッド周辺に問題があるかもしれないという。「故障箇所によっては,もう部品がないかもしれません。」などという脅し文句(笑)まででてきた。そのとき,すでに新品のDATデッキ(一般コンシューマ向けの製品)を発売しているメーカーがなくなっていることに気がついた。
 とりあえず修理に出すことにした。直ればよいのだが,直らなければ,中古品をあさるしかないのだろうか・・・・。また,もし今回は直ったとしても,いつまでDATデッキを使い続けることができるのだろうか。少々不安になってくるのであった。


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