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2025年10月11日(土) 天気:晴オート三輪の廃車体を見かけた日三次市に2019年に開館した,「三次もののけミュージアム」(*1)というところを,はじめて訪れた。正式には「湯本豪一記念日本妖怪博物館」といい,常設展示としては「湯本豪一氏から寄贈を受けた妖怪コレクション」があり,とくに「江戸時代の三次を舞台とした妖怪物語《稲生物怪録》」に関連するものになっている。それを中心に,さまざまな企画展示がおこなわれている。広島市内にある「稲生神社」には,この「稲生物怪録」の主人公ともいえる稲生武太夫が祀られている。稲生神社の前は,広島電鉄の稲荷町電停がある。広島駅の2階に電車が乗り入れるための,あたらしい路線が分岐する起点にあたるわけで,これからあらためて注目される場所になるのではないかと思われる。
「三次もののけミュージアム」では,企画展として「妖怪を描いた浮世絵師たち」が開催されている。江戸時代から明治時代初期にかけての浮世絵に描かれた人物は,眼が細く描かれる傾向がある。それに対して浮世絵に描かれた「妖怪」たちには,「まん丸なギョロ目」な顔をしたものが少なくない。丸い大きな目の異形なキャラクタは,はっきり言って「かわいい」ものに見えるのである。正体のわからない「妖怪」は,怖い,恐ろしい存在のはずだが,どう見ても「かわいい」のである。なお,当時の人がそれらを見て「恐ろしい」と感じたのか,「かわいい」と感じたのか,そのあたりはどうなのか知らない。とくに,ミュージアムのコレクションにある「人面草紙」に描かれている凸型の顔をしたキャラクタは,現在のマンガに使われていてもまったく違和感を感じないものである。これは多くの人が親しみをもつようなものだからだろうか,ミュージアムの前に,何体も並べられているくらいである。
SONY α7, NOKTON classic 40mm F1.4 MC帰路には,往路と同じ県道を通って,安芸高田ICへ向かうことにした。途中に,3台のオート三輪の廃車体が並んでいるのを見かけたからである。往路にちらっと見かけたときには,広島県内のことだからマツダのオート三輪だろうと思っていたが,この正面の形状からはダイハツのオート三輪のように思われる。左の2台は1960年代のモデル,右の1台は中央のヘッドライトが入っていたと思われる穴のすぐ右に,もう1つの穴があることから,1950年代後半のバーハンドルのモデルであろうと思われるが,詳しいことは確認できていない。
SONY α7, NOKTON classic 40mm F1.4 MCいちばん左側のクルマには屋根の上に赤い回転灯がついている。この正体は,反対側から見るとよくわかる。車体後部にはホースが巻きつけられており,ドアには「甲田町消防団」と書いてある。つまり,消防車だったものである。甲田町は1956年から存在するので,時期的に整合している。
SONY α7, NOKTON classic 40mm F1.4 MCほかの2台は消防団と関係のある車両だったのかどうかはわからないが,1つだけたしかに言えることがある。それは,妖怪も自動車も,大きな丸い目は「かわいい」のである。
*1 湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)
*2 「南区七大伝説」を知っていますか?~1.妖怪伝説(稲荷町)(広島市) |
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