撮影日記


2025年01月31日(金) 天気:曇

4/3(フォーサーズ)カメラで
ニコンFマウントレンズが使える?

小型の一眼レフカメラや,いわゆるミラーレスカメラなどは,いろいろな交換レンズを利用できるシステムカメラであることが,大きな魅力の1つである。それらのカメラボディとレンズとを接合する部分は,レンズマウントとよばれ,システムごとに異なった形状をしている。そのため,基本的には同じブランドのカメラボディとレンズの組みあわせでなければ,利用することができない。同じブランドの製品でも,異なるレンズマウントを採用するケースはあった。レンズマウントを変更するときには,古くからのユーザから一定の反発もみられたようだが,あたらしいシステムと古いシステムとの組みあわせて使えないだけで,古いシステムを使い続けることには問題ない。たとえばAE化やAF化がすすんだ時期に,あたらしい機能を搭載するための変更であれば,当初は反発する声があったり,古い機種との互換性をもたせるためのアクセサリが発売されて対応が試みられるようなケースもあったが,そのうちあたらしいシステムの価値が認められるようになり,そのほうに落ちついていったものである。
 もっとも,マミヤが発売していたライカ判一眼レフカメラのように,モデルチェンジのたびにレンズマウントを変更するような例もあったが,そこまで極端なものは稀である。

ブランドごとに独自のレンズマウントが使われているのは知的財産権の関係やユーザを囲いこむ目的などがあったのだろうとは思う。それでもときどき,いくつかのブランドがそろって,共通のレンズマウントを採用するケースもある。デジタル一眼レフカメラの4/3(フォーサーズ)システムは,そのような共通の規格を採用した例の1つである。

4/3システムのカメラの1つに,OLYMPUS E-300という機種がある。一眼レフ形式のカメラであるが,一般的な一眼レフカメラとは違って,ファインダー機構にペンタプリズム(あるいはペンタミラー)を使っていない。そのため,上部にいわゆる「ペンタ部」が出ていない,独特なスタイルをしている。一眼レフカメラとは,撮影用のレンズと撮像素子(あるいはフィルム)のあいだに動くミラーが設けられていて,撮影用のレンズを通した像をファインダーで確認することができるようになっている。撮影する瞬間にはそのミラーが動いて,シャッターが開き,撮像素子(あるいはフィルム)で像を受けられるようになっている。ほとんどの一眼レフカメラではこのミラーが上下方向に動くようになっているのだが,OLYMPUS E-300は左右方向に動くようになっている。これは,かつて発売されていたハーフサイズ一眼レフカメラOLYMPUS-PEN Fと似たようなシステムである。そういう意味で,ぜひ一度は手に取ってたしかめていただきたい,おもしろい機種である。

OLYMPUS-PEN Fのミラーは左右に動く。
OLYMPUS E-300のミラーも左右に動く。

もともとOLYMPUS E-300で撮るとるべき具体的なものはとくになかったが,細かいものを接写する必要が生じたときに,4/3システムの小さな撮像素子を利用してみようと考えた。そこで利用しようと考えたレンズが,内視鏡撮影用と思われるKARL STORZ 593-T2というレンズである。これは焦点距離を70mmから140mmまで連続的に変化させられる望遠ズームマイクロレンズとして使えるが,ライカ判サイズのカメラで使おうとすると,短焦点側では内視鏡への接続部分と思われる箇所でケラレてしまう。だから,撮像素子の小さなデジタルカメラとの相性は悪くないだろうと考えた。

KARL STORZ 593-T2

KARL STORZ 593-T2のレンズマウント部は,ねじ込み式のTマウント交換式になっている。一眼レフカメラに接続するためのTマウントアダプタとして,ニコンFマウント用のものを確保している。そこで,4/3システムのカメラボディに,ニコンFマウントのレンズを装着するためのマウントアダプタを確保した(2003年7月1日の日記を参照)。そしてようやく,やってみようと考えていた接写を実行することにした。ただ,残念ながら,目的とする撮影にはうまく利用できなかった。

TマウントレンズにニコンFアダプタを装着し,さらに4/3カメラでニコンFマウントのレンズを使うためのアダプタを併用するとOLYMPUS E-300に装着できる。

このときあわせて,遠方の風景も撮ってみた。無限遠にピントのあう位置が,レンズの無限遠の指標とは大きくずれていた。いわゆる,「無限遠が浮いている」状態である。マウントアダプタの精度の問題などが影響しているのかと,そのときはそれ以上,気にかけることもなかった。
 カメラを片づけるためにレンズを外したとき,4/3-Nikon Fのマウントアダプタがないことに気がついた。それは,カメラバッグの底に眠っていた。なにが起きたのかわからなかったが,つまりは4/3カメラのOLYMPUS E-300に,ニコンFマウントのレンズが直接に装着できていたのである。

こういうことをやりたくて,わざわざいまさら,4/3-Nikon Fのマウントアダプタを買った。
4/3-Nikon Fのマウントアダプタがなくても,ニコンFマウントのレンズを装着できる。

4/3システムのユーザの人には常識なのかもしれないが,4/3マウントのボディにはニコンFマウントのレンズが,ちょうどうまいぐあいにはまってしまうようである。もちろん,ニコンFマウントレンズの自動絞りなどには連動しないし,多くの接点などに干渉して取りつけられないレンズがほとんどだとは思う。この場合は,元のレンズがTマウント式のレンズで,それにニコンFマウントのアダプタをつけた状態のものであり,接点やレバーが何もない状態だったので,ニコンFマウントのレンズが4/3マウントのボディにはまって,いちおう使えてしまっていたようである。


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