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2025年01月24日(金) 天気:晴れサカイマシンツール廃業の報大判カメラには,いろいろな形態のものがある。木製のカメラは古くからあるもので,その1つに,組立暗箱とよばれるタイプのものがある。これは,収納時は前枠と後枠とが重なるようにたたまれており,撮影時はそれを起こして使うようになっていることから,「組立」とよばれているようである。タチハラやナガオカといった銘のものは,近年まで生産,販売が続けられていた。 ![]() 入手した当初はうれしがって,「アオリをしなければ損」とばかりにいろいろ試そうとしたものである。もちろん,過剰なアオリをするとピントグラスに見える像が破綻するばかりで,意味がない。これを収めるための箱をつくり,屋外に持ち出して使うことも考えたものだが,やはり持ち運びがたいへんだし,屋外での撮影ではモノレールタイプのカメラでなければならないほどのアオリが必要な場面などほぼない。 ![]() TOYO-VIEW 45CONY, FUJINON 150mm F5.6, E100VSそのため,せっかく入手したものの,結局,出番はあまりなかったものである。もちろん,過剰にアオリができるということは,それだけアオリの効果がわかりやすい。だから,アオリというものを体験していくには,好都合なのである。そして,過剰なアオリに意味がないことも思い知らされていくのである。 ![]() TACHIHARA Fielstand45, FUJINON 150mm F6.3, E100VS一方で,モノレールタイプのカメラは,接写に好都合という面もある。たまたまマミヤプレス用のロールフィルムホルダを利用できるアダプタを入手していたので,6×9判での接写を楽しむことができた(2003年7月1日の日記を参照)。 ![]() TOYO-VIEW 45C, FUJINON WS 210mm F5.6, E100VS蛇腹が長く伸びることを利用すれば,中間リングをいろいろ組みかえて接写するよりも,スムースに撮りたい範囲を決定しやすい。 ![]() TOYO-VIEW 45C, FUJINON WS 210mm F5.6, E100GPこのように,個人的にはあまり思い入れが深いわけではなく,また新品のカメラや部品などを購入するなどメーカーさんにはまったく貢献していない状況ではあるが,それでも,少しはご縁のできたメーカーさんの終焉に接するというのは,さびしいものである。 「奥原写真機製作所」や「船橋勝製作所」など,大阪にもいくつか存在した組立暗箱の製造者は,カメラ雑誌などで扱われることがなく,入門書などで紹介されるのをみたこともない。そのためあまり一般には知られることのない存在のまま,いつのまにか静かに消えていったようである。それらの製品とは違って「トヨビュー」や「トヨフィールド」は,日本カメラ「カメラ年鑑」などにも記載されていたし,大判カメラの入門書や解説書などでも,代表的な機種の1つとしてよく取りあげられてきた。また,近年まで活動があったことで,インターネットでもいろいろな情報が流通し蓄積されてきた。いろいろな形で,一定の記録がある程度アクセスしやすい状態で残っていくものと期待する。 |
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