2024年10月29日(火) 天気:曇ときどき雨
Nikon D800をお迎えした
最近,写真を撮るのにフィルムを使うことがめっきり減った。フィルムを使わなくなった理由としては,いろいろなものがあるが,「フィルムの価格」と「現像代」が上昇したこと,「現像処理の納期」とくにポジフィルムの処理の納期が著しく長くなったこと,「フィルムの銘柄・選択肢」が減少したことがある。KodakからEktachromeの発売が終了したことで,いちばん使いたいフィルムが入手できなくなった。フィルムの選択肢が減ったことが,まず大きな要因となる。そして,ポジフィルムのスピード現像のサービスが利用できなくなった。それとほぼ同時に,フィルムの価格や現像代が上昇しはじめた。FUJIFILMのVelviaで撮ることにも独自のおもしろさはあるのだが,そこに現像処理の納期が長くなったことがあわさって,撮って結果を見ることへの楽しさが大きく減少した。さらに価格の上昇が加わって,一気に敷居が高くなってしまったのである。Ektachromeは後に再発売されるようになるが,現像処理の納期が長いことと,当初は135フィルム(35ミリフィルム)しか再発売されなかったこと(おもに120フィルムを使いたいの)で,フィルムで撮ることへのモチベーションは高まっていない。
そうこうするうちに,Kodak DCS 460(2016年1月14日の日記を参照)やKodak DCS Pro 14n(2016年8月26日の日記を参照)などの魅力的なデジタルカメラを使えるようになったこともあって,個人的にはすっかり,「デジタル化」が進行してしまったのであった。Kodakのほかに,FUJIFILMのデジタルカメラにも,FinePix S2 Pro(2015年9月7日の日記を参照)など魅力的なものといろいろ出会うことができた。
さらにその後,オンデマンド印刷を利用して,撮影した画像を冊子にまとめるようになった。この場合は,デジタルカメラで撮ることとの相性がとてもよいものになる。
オンデマンド印刷を利用して冊子にまとめる場合,出力する大きさはせいぜいB5判程度までとなる。B5判(182mm×257mm)の大きさに200ppiの解像度で出力するためには,1434ピクセル×2024ピクセルの画像が必要になる。つまり必要な画素数は,290万画素である。300ppiで出力するとすれば,2150ピクセル×3035ピクセル,650万画素が必要となる。つまり,600万画素で記録できれば,実用的にじゅうぶんなのである。
1994年に発売されたKodak DCS 460は,市販された一体型のデジタル一眼レフカメラとして,はじめて600万画素の撮像素子をもつものであった。その発売には,フィルムでの撮影をデジタルカメラでの撮影にほぼ置きかえられる可能性があったという,大きな意味が存在した。ただ,発売当時の日本国内での価格は349万円と高価だったため,デジタルカメラでの撮影が普及するには,もう少しのちのことになる。
その後,よく知られているように,デジタルカメラに使われる撮像素子の画素数は、少しずつ増加していく。もちろん,画素数が多ければ多いほど大きなサイズにプリント出力するのに好都合となる。それでも,トリミングの余裕を考慮しても,600万画素の2倍である1200万画素もあれば一般的な用途として困ることは,ほとんどないだろう。また,撮像素子の面積にもいろいろな規格が存在した。ライカ判サイズ(36mm×24mm)のものであれば,フィルムを使い慣れてきた身としては,同じような感覚で使える。Kodak DCS Pro 14nというデジタルカメラは,とても都合がよいものなのである。
しかし,Kodak DCS Pro 14nは,発売から20年が経過した製品である。専用のバッテリーはとうに劣化が進んでいて,セルを入れ替えて延命させている(2017年5月16日の日記を参照)。確保していた充電器は,2台とも故障した(2023年9月30日の日記を参照)。たぶん,コンデンサの劣化だろう。カメラそのものも,2台あったうちの1台は,シャッターのメカニズムが寿命を迎えたようである(2024年4月1日の日記を参照)。そろそろ,つぎのライカ判サイズの撮像素子をもった,デジタル一眼レフカメラを確保しておきたいところである。
そこでまずは,比較的お手頃な価格で入手できそうなNikon D600について,価格の動きを注目しておくことにした。「難あり」とされるものはかなり安価に入手できそうであるが,ダイアルにガタがあるなど,使用するにあたって大きな問題となりそうなものばかりである。そんなおりに見かけたものが,「難あり」であるがかなり安価に思えたNikon D800である。どこに「難あり」なのか説明を確認すると,どうやら付属のバッテリーパックが劣化してしまっているところ以外は,外観の問題ばかりのようであった。バッテリーパックは所詮は消耗品だし,予備も確保しておきたいから,どのみち1つ2つは購入しておきたいものである。その結果として,「デジタルカメラというものは,1200万画素もあれば十分である」と主張しながらも,3600万画素という機種をお迎えするに至ったのであった。
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